【XYLD】 配当利回り9.0%以上⁉S&P500 カバードコールETFとは

銘柄紹介

みなさんこんにちは小市民投資家のNAOMARUです。

今回は配当金でFIRE生活を目指す人に向けて超高配当なETFをご紹介します!

その名も「XYLD

超高配当ということでどのぐらい高配当かというと、なんと直近の12ヶ月の利回り9.51%!

※2021/11/16

どうしてそんな高配当を実現できているのか?

このETFが行っているカバード・コール戦略とはどういったものなのか?

同じカバードコール戦略をとっているQYLDとは何が違うのか?

そして、タコ足配当ではないかという疑惑についても解説していきますので是非最後までご覧ください!

今回の記事でわかる事
  • XYLDの概要
  • カバードコール戦略について
  • QYLDの違い
  • タコ足配当ではないかと思われる点

※この記事は特定の商品の利益を保証するものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。投資は必ず自己責任でお願いします。

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【XYLD】 配当利回り9.0%以上⁉S&P500 カバードコールETFとは

それではまず「XYLD」というETFの中身を見ていきたいと思います。

「XYLD」はGlobal X社が販売しているインカムゲインのための高配当ETFです。

このGlobal X社は他にも「PFFD 米国優先証券ETF」や「BOTZ ロボット&AI ETF」などインカムやテーマ型に特化したETFを多く出す面白い会社です。

その中でもインカムで有名になったのが「QYLD NASDAQ100カバード・コール・ETF」です。

XYLDと同じくカバードコール戦略をとっていてこちらは配当利回り10%越えとさらに高配当であることから注目を集めました。

そんなGlobal X社がS&P500に対しても同じカバードコール戦略をとって高配当を実現したのがこの「XYLD」です。

「XYLD」商品概要

商品の説明

カバード・コール戦略で利益を生み出そうとするもので、これまでボラティリティが高い時期には、より高い利回りを生み出しています。

S&P500指数のコールオプションを売却することにより、時間と潜在的な費用を節約することができます。

引用:Global X

S&P500指数とは

S&Pダウジョーンズインデックス社が米国証券市場に上場している大企業500社を時価総額加重平均で算出した代表的な株価指数。

工業株400種、運輸株20種、公共株40種、金融株40種の各指数で構成されていてニューヨーク市場の約75%以上を占めており最もアメリカの株式市場を反映している指数の一つ。

商品概要

ティッカーXYLD
設定日2013年6月21日
対象インデックスCboe S&P 500 BuyWrite Index
保有銘柄数507
運用資産残高$560.44 mil
総経費率0.60%
12か月分配金利回り10.18%
分配頻度毎月分配
※2021/11/16時点

高い分配金で特徴的なETFにしてみれば経費率0.60%と割と良心的な経費率です。

また毎月分配であることもFIRE生活ではとても安心しますね。

直近は好成績で10%を超える分配金利回りを達成しています。

引用: Global X

毎月の分配金の推移です、月により増減はしているのがわかります。

この増減はQYLDでもあり、毎月同じ額が来ると思っていると意外に少ないという日もあることに注意しましょう。

これはボラティリティに関係しており、ボラティリティが高いときは増配の傾向があります。

セクター構成比率

引用: Global X

S&P500指数を基にしていることもありNASDAQ100に比べて全体的にバランスの取れた構成比率となっています。

グロースから成熟企業まで満遍なく構成されています。

またS&P500の構成銘柄はかなりシビアな基準で選定されているため業績不振ともなれば、リバランスの際に除外され新陳代謝がおこることもS&P500指数が信頼される理由です。

カバードコール戦略とは

そもそもXYLDでとられているカバード・コール戦略とはどのような取引なのでしょうか?

このカバード・コール戦略を知るにはまずオプション取引を理解する必要があります。

オプション取引については下記の記事で解説していますので、まずオプション取引がわからないという方はこちらからご覧ください。

カバード・コール戦略とはオプション取引にてコールオプションを「売る」ことで発生するオプションプレミアム(上記の記事では「保険料」と言っていたもの)を得ることでその利益を分配金に充てているという仕組みです。

「コールオプションを売る」という事はS&P500がどんなに値上がっても「買い手」に事前に決めた権利行使価格で売らなければならない取引なので、「売り手」側がS&P500の値上がり益を得ることはできません。

その代わり値動きに影響しない安定的な「プレミアム料金」を獲得できるのです。

引用:新生銀行

そのことからこのETFはQYLD同様ほとんどキャピタルゲインを狙えるETFではありません。

下図は基指数「S&P500」のインデックスETF「SPY」との比較です。

青がSPY,オレンジがXYLDです。

引用:Bloomberg

S&P500は右肩上がりで推移しているのに対してXYLDはようやくコロナ前の水準に到達した位置にいますし、コロナ以前も同水準を推移しています。

これはキャピタル益を犠牲にする代わりに安定したプレミアム料を得るという戦略をとっているからにほかなりません。

このプレミアム料は逆に下落の際には下落のクッションになってくれます。

引用:新生銀行

株価が下落して損失が出てもプレミアム料を取っているのでその分損失を軽減してくれているのです。

またレンジ相場であれば、プレミアム料分は勝てるので、決してS&P500より分が悪いわけではありません。☟レンジ相場の時の収益例。

引用:新生銀行

つまりカバード・コール戦略とはキャピタル益を犠牲にして安定したオプションプレミアムを獲得することで高いインカムを実現させる戦略なのです。

QYLDとの違い

セクターの偏りが少ない

同じGlobal X社が出しているカバード・コール戦略をとったETFにQYLDがありますが、その違いとは何でしょうか?

QYLDとXYLDとの違いはなんといってもその対象セクターです。

引用:PayPayアセットマネジメント株式会社

上記の図を見てもわかるように幅広くバランスの取れたS&P500に対してNASDAQ100はその中でもハイテクセクターを多く含む100社に絞られています。

そのためNASDAQ100の方がボラティリティが高く、XYLDよりもQYLDの方が高い分配率を維持しています。

しかし、NASDAQ100は銘柄が偏っているため時代が転換してNASDAQ100が急落してくる場合もあります。

そのことを考えるとバランスの取れたS&P500の方が分配率が多少減ったとしても安定しているとも言えます。

これは個人の価値観により異なるので、どれが優れているということはありません。

今後もNASDAQ100はS&P500よりもパフォーマンスを上げ続けると思う方はQYLDですし、多少パフォーマンスは落ちても心配せずにずっと持っておきたいという方はXYLDでもいいでしょう。

※S&P500が今後も成長が止まらないという保証ではありません。

配当金が多い

また、分配金の原資にもなる配当金がNASDAQ100よりもS&P500の方が多いのも注目する点です。

現在のS&P500(VOOで計算)の配当利回りは1.52%です。

NASDAQ100インデックス(QQQ)の配当利回りが0.56%であるのに比べれば若干多くの配当金がもらえます。

これはナスダック100の構成銘柄よりS&P500の構成銘柄の方が配当金を多く出す成熟企業が多い事が挙げられます。

先にもお伝えした通りカバード・コール戦略は配当金も大きな役割を思っています。

下落のクッションや分配金の上乗せなどQYLDではほぼオプション料だけで対応しなければならないものをXYLDは配当金でもカバーできるのでより安定的な運用が出来るのです。

なのでNASDAQ100よりもボラティリティは低いですが、「配当金+オプション料」の効果はXYLDの方が大きいので分配金の内容はより安定しているとも言えます。

XYLDはタコ足配当ではないか?

ちなみにXYLDやQYLDでよく耳にするのが「タコ足配当疑惑」です。

10%以上の配当利回りをたたき出しているのだから原資を削ってタコ足配当をしているのではないか?という問題です。

タコ足配当」とは

配当金は利益の一部から出すことを基本としています。

しかし、高い配当利回りを維持するために利益以上の配当金を、原資(元本)を削ってまで出してしまう事。

このタコ足配当については同じカバード・コール戦略をとっているQYLDで検証したこちらの動画がとてもためになるのでご覧ください。

出典:東大卒会計士商社マン”ぱせいお”のFIRE教室

この動画にも出てきたQYLDの運用報告が下になります。

この運用報告書を見ても明らかに運用益にプラスして資本を取り崩した分が足されて分配金に充てられています。

そのおかげで翌年の期首資産額が前年を下回ってます。まさにタコ足配当ですね。

これがXYLDでも行われているのか確認してみました。

XYLDは日本での運用期間が短いため運用報告書は英語のみになります。少し見づらいですが確認することができました。

2018年の運用による利益を見てみると2.50$の運用益でしたが資本の払い戻しで2.60$が足されています。

これはまさに「タコ足配当」といえます。

XYLDもQYLDと同じくタコ足配当をしていた。ということになります。

タコ足配当でも大丈夫?その理由とは

ではQYLDもXYLDもタコ足配当だから投資するに値しない商品なのか?というとそうとは限りません。

なぜなら、高い分配金を求めている投資家もいるからです。

「原資が削られる投資商品なんて意味ないじゃないか」と思われる方もいらっしゃると思いますが、先ほどの動画でも次のようなタコ足配当であれば問題ないと言っています。

  1. 一貫した配当方針に基づいているか
  2. タコ足配当が一時的/軽微であり、長期的には投資家の元本が保たれる見込みが高いか

この二つの事が守られていればタコ足配当であっても投資家の資産は守られるというのです。

確かに一般の企業でも一時的に利益が減ってしまって配当性向が100以上になってしまっても増配を続けている企業であればタコ足配当でも配当金を保つということはあります。

それはその減益が一時的なもので今後収益回復が見込めると思っているからです。

そして、投資家は安定的な配当を求めているのを知っているからです。そのため一時的な減収でも配当金を減らさずに出すという企業方針を守るのです。

ここでいうXYLDとQYLDの配当方針はというと

配当=受取オプション料の半分(上限:月利回り1%)

という明確な配当ルールが両社のETFには存在します。

これにより収益が多くなってもそれをすべて配当に回すのではなく内部留保としてため込むことができます。

事実2017年の運用益を見てみると3.01$の利益に対して分配金合計は0.53$しか出していません。

この残金を利益剰余金として内部留保することでいざタコ足配当する時に充当することができるのです。

この内部留保のおかげで2番の「タコ足配当が一時的/軽微であり、長期的には投資家の元本が保たれる見込みが高いというのがクリアできます。

「Net Assets End of Period=四期末純資産額」の額が順調に増えていっていることからも、そのタコ足配当するための内部留保が積み立っていることがわかります。

つまりそこまで過度に心配する必要はないという事です。

多額の内部留保をため込んで配当金を支払う。オプション取引の動画でもお伝えした通り、まさに「保険ビジネス」の形ですね。

まとめ

いかがだったでしょうか。このXYLDは冒頭にもお話した通りインカムゲインをメインに据えたETFです。

キャピタルゲインを捨てる代わりに最大限のインカムを得るという方法は資産形成がひと段落して日々の生活に資産を使いたい方には持ってこいのETFではないでしょうか。

では今回の記事のまとめです。

  • XYLDはS&P500指数に連動してカバード・コール戦略をとったETF
  • キャピタルゲインはほとんどなくインカムゲイン重視のETF
  • オプション取引の売り手側に回り安定的な「オプション料」を配当の原資にしている
  • QYLDよりも「配当金+オプション料」の効果が大きい
  • 高い利回りを生むために資産の払い戻しをして「タコ足配当」する時もある
  • 多額の内部留保を保つことでタコ足配当でも資産を減らさないようにしている

今回の記事はあくまで個人的な意見です。また、運用が始まってそんなに長い期間続いているETFでもありませんので、もしかしたら今後どうなるかはわかりません。

投資はあくまで自己責任でお願いします。

ただ、FIREを目指す人など日々のキャッシュフローを厚くしたい方にとっては、その厚みを増すことができるちょっとスパイスの効いたETFではないでしょうか。

みなさんの充実したマネーライフを応援しています☆

MONEY GROW UP!

Written by NAOMARU

コメント

  1. XYLD太郎 より:

    勉強になりました。ありがとうございます。

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