今回は米国の高配当ETFについてご紹介します。
個人投資家のなかでは米国のETF、とくに高配当ETFが人気ですね。
米国の企業は投資文化がしっかり根付いていて「配当貴族」や「配当王」など株主還元に積極的な企業が沢山あります。
そのため高配当投資と言えば米国の高配当ETFを買っているという方も多いのではないでしょうか。
実際に米国ETFの買付ランキングを見ると高配当ETFが常にランキングされています。
1位 | SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF(SPYD) |
2位 | バンガードS&P500ETF(VOO) |
3位 | バンガード米国高配当株式ETF(VYM) |
4位 | バンガードトータルストックマーケットETF(VTI) |
5位 | インベスコQQQトラスト シリーズ1ET(QQQ) |

みんな高配当ETFが好きなんだね
特に1位のSPYDとVYMは同じく高配当ETFのHDVと合わせて「米国高配当ETF御三家」とまで言われています。
今回はその中でも最も人気なSPYDとVYMについてご紹介します。
どちらも支持する投資家が多くこれから始めたいという方にとってどちらを買った方がいいのか迷ってしまう方もいるかもしれません。
そこで今回はこの二つのETFに絞ってそれぞれの特徴を比較していきたいと思います。
この記事を読んでぜひ銘柄選びの参考にしてみてください。
- SPYDのVYMの特徴を比較
- それぞれの投資戦略
SPYDとVYMどっちがいいの?それぞれの特徴やパフォーマンスを比較
SPYDの特徴
SPYDは正式名称「SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF」で、優良なインデックスであるS&P500の採用銘柄の中から配当利回りの高い銘柄80社を均等な割合で構成しています。
ティッカー | SPYD |
正式名称 | SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF |
構成銘柄数 | 80社 |
直近分配金利回り | 3.87% |
分配金回数/年 | 4回 |
経費率 | 0.07% |
設定日 | 2015/10/22 |
純資産総額 | 9,483.04百万USドル |
このETFの特徴は何といっても優良指数S&P500の構成銘柄から選ばれているという事です。
S&P500は財務健全性が高く、利益を出し続ける大企業のみが入る事の出来る指数であり、すでにそこでスクリーニングが済んでいるという強みがあります。
高配当ETFを買ったけど、その中身は財務がボロボロで成長性の無い罠銘柄ばかり、という心配は無くなりますね。
また経費率も0.07%と格安で純資産総額も多く償還(無くなる)リスクはほぼゼロです。
分配金利回りが高く直近は3%台ですが、利回りが高い時は4~5%になる事もあります。
VYMの特徴
VYMは正式名所「バンガード 米国高配当株式ETF」でアメリカの大手運用会社バンガード社が取り扱っている高配当ETFです。
米国に上場している企業から平均以上の配当を出す銘柄約400社を時価総額加重平均を用いて構成しています。
企業の時価総額に合わせてその配分を決める方法。時価総額が大きければ多く、逆に小さければ少なく組み入れる方法。小さい株の大きな値動きに左右されにくくなります。
ティッカー | VYM |
正式名称 | バンガード 米国高配当株式ETF |
構成銘柄数 | 400社 |
直近分配金利回り | 2.97% |
分配金回数/年 | 4回 |
経費率 | 0.06% |
設定日 | 2006/06/21 |
純資産総額 | 46,557.42百万USドル |
このETFは高配当ETFの老舗と言われ設定日が2006年と古い事が一番の特徴です。
特にリーマンショックを経験していることはとても大きな意味を持ち、実際に世界同時株安が起こった際にどのような値動きをするのかを事前にシミュレーションできるので暴落への心構えや対処法を考えることが出来るのです。
こちらも経費率は0.06%で格安です。
構成銘柄が400社もある事から分散が効いている代わりにSPYDよりも分配金利回りは低い傾向にあります。平均して2~3%台です
株価推移の比較
それでは二つのETFの株価推移を比較してみます。

直近5年間のSPYDとVYMの株価チャートがこちら、青がSPYD、オレンジがVYMです。
銘柄数が80銘柄と少ないSPYDは分散が効いていない分、値動きがVYMより激しいという特徴があります。
特に2020年のコロナショックを時期はVYMよりも大きく値を下げ暴落前に値に回復するまでにVYMよりも期間が掛かっていますね。
しかし上昇時にはVYMよりも上昇率が高いため、上手く安い時に買う事が出来ればSPYDの方が大きく上昇する可能性を秘めています。
VYMは良くも悪くも値動きがマイルドなため安定した資産運用に向いています。
セクターの比較
それではどのようなセクター比率になっているのか比較してみましょう。
金融や通信など各銘柄が属しているの業種のこと、このセクターに偏りがあると暴落時に値動きが激しくなることも。
SPYDのセクター比率
金融 | 21.37% |
公益事業 | 15.85% |
不動産 | 14.55% |
エネルギー | 9.47% |
生活必需品 | 7.37% |
通信・サービス | 7.20% |
ヘルスケア | 6.24% |
一般消費財・サービス | 5.97% |
素材 | 5.96% |
情報技術 | 4.74% |
資本財・サービス | 1.27% |
VYMのセクター比率
金融 | 19.70% |
ヘルスケア | 14.60% |
生活必需品 | 12.90% |
資本財 | 10.30% |
エネルギー | 9.70% |
一般消費財・サービス | 8.70% |
公益事業 | 8.40% |
情報技術 | 6.70% |
通信・サービス | 5.10% |
素材 | 3.90% |
高配当ETFという事でどちらも金融セクターがトップの構成比率です。
SPYDは不動産やエネルギーなど景気敏感セクターが上位を占めており、それとは対照的にVYMはヘルスケアや生活必需品などディフェンシブセクターが上位を占めています。
景気敏感セクターは景気により受給が増減し、株価が強く反応します。ディフェンシブセクターは景気と受給との関係性が弱く景気による株価の反応が弱いセクターです。

SPYDは半分以上が景気敏感セクターなのか
SPYDの株価変動が激しい理由はセクターに景気敏感セクターを多く含んでいる事も関係しています。
またSPYDは80銘柄と数も少ないことからセクターの偏りが激しくVYMの方がセクターとしてはバランスが取れているように見えます。
配当金の推移
最後に高配当ETFで一番重要な配当金の推移を比較してみましょう。


貯金5年間の分配金の推移です。2022年は年初から現在までの分配金を表示しています。
SPYDは2020年で減配してから翌年2021年も減配しています。2022年はこのままいけば増配になる可能性が高いですが、暴落時になると減配する傾向があります。
VYMは2020年のコロナショックを受けてもしっかり増配しているのがわかります。
2022年はあまり調子が良くないですが、増配または据え置きに期待したいですね。
配当金の安定感はやはり長年の経験を持つVYMに軍配が上がります。
VYMは利回りが低いですがその分しっかり増配してくれるのが心強いですね。
SPYDは株価や分配金など安定しないですが、まだまだ出来上がったばかりのETFでありS&P500の構成銘柄であることを考えると今後に期待できるETFではあります。
SPYDに向いてる人とVYMに向いてる人
SPYDは株価の値動きが激しいタイプのETFです。その分利回りが高く設定されているため、大きく値を下げた時に一括購入できれば大きな利回りで分配金を受け続けることが出来ます。
そのため値動きをチェックしてアクティブに株の買い時を見極めたい人に向いています。
逆にVYMは値動きがそこまで激しくない安定感のあるETFです。
また株価も緩やかな右肩上がりであるためいつ買ってもそれなりに利益を得る事が出来ます。
コツコツ積み立てる買い方でも十分安定した分配金を受け取ることが出来るため値動きをあまり気にしたくない積立派の人に向いています。
またVYMは割安なディフェンシブセクターの銘柄を多く含んでいるためQQQのような成長株を多く含むETFとも相性が良く、ポートフォリオのバランスを整えてくれる役割をしてくれます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は人気高配当ETFであるSPYDとVYMについて比較してきました。
どちらも一長一短あり悩ましいですが、この比較を基に自分はどっちに合っているのかを比べてみてはいかがでしょうか。
もし迷って決められない方にお勧めの買い方は「どっちも買ってみる」というやり方です。
ただ、単純に半々で買うわけではありません。
安定的でディフェンシブセクターの多いVYMを基盤として買っておき、景気敏感セクターの多いSPYDを暴落などで株価が下がり分配金利回りが上昇した時に狙って買います。
すると基盤として安定したインカムを享受しながら分配金利回りを上昇させることが出来ます。
また両方持っておけば、自分のリスク許容度に応じてVYMを増やすのか、SPYDを増やすのか今後の値動きを見て最適な配分に調整していくことも可能です。
どちらも優秀なETFであることに変わりはありませんから、ご自身のポートフォリオ構築の参考にしていただければ幸いです。
みなさんの充実したマネーライフを応援しています🐽

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Written by NAOMARU
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