【株レビュー】高配当3大海運銘柄を比較!1番持ってて安心な株は?

銘柄紹介

みなさんこんにちは小市民投資家のNAOMARUです。

今回は最近高配当で人気の海運銘柄大手3社を比較して業績的に安定した銘柄があるのかを検証してみたいと思います。

高配当銘柄は安定した業績である優良企業が大前提

いかに高配当でも持ってて不安な銘柄は嫌ですよね。

今回は3大海運株で長期保有が出来そうな銘柄を探してみたいと思います。

配当利回りは日々変化するので現在(2022/06/25)の値で比較してみたいと思います。

※この記事では特定の銘柄を紹介していますが、投資は必ず自己責任でお願いします。

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高配当3大海運銘柄を比較!1番持ってて安心な株は?

最近高配当ランキング上位を維持している海運銘柄ですが、海運大手というと「日本郵船」「商船三井」「川崎汽船」の3社になります。

なぜ最近この三社が高配当ランキングに上がってきたかというと海運業界では今深刻なコンテナ不足とロシアウクライナ問題、インフレとの影響で昨年から運賃高騰が続いています。

そして今まで運賃が安く利益がなかなかでなかった海運事業が盛り返してきているという事です。

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利益上昇に伴い株主還元である配当も大きく上昇してランキング入りを果たしています。

この三社はそれぞれに特徴があり主力の事業も違いますのでそのこれからご紹介したいと思います。

現在の業績も併せて紹介しますので是非参考にしてみてください。

日本郵船【9101】

海運業界のリーダー、総合海運会社。陸上、航空サービスも展開。

日本郵船は定期船事業、航空運送事業、物流事業、不定期専用船事業、不動産業、その他の事業の6部門に属する事業を展開しています。

また既存事業に加えて脱炭素化へのゼロミッション化や、環境関連分野へのグリーンビジネスへ投資強化を行っています。

引用:日本郵船

株価詳細

時価総額1.54兆円
市場プライム
PER2.1倍
ROE58.9%
ROA32.8%
自己資本比率55.6%
配当利回り・会予11.5%

時価総額はさすが海運大手だけあって1.54兆円と巨額ですね。安定感はあります。

TOPIXの平均PERが10~15倍であることを考えるとかPER2.1倍はかなりの割安だと言えますね。

自己資本比率も55.6%と半分以上あるのは悪くない数字です。

それにしても配当利回り11.5%はすごい。

営業成績

引用:バフェット・コード

通期売上高は安定して推移しています。また去年からのコンテナ不足と運賃高騰で利益の方が大幅に上昇しています。

引用:IRバンク

売上原価率と販管費率が変わっていないにも拘らず営業利益率が上昇しているのはやはりコンテナ不足と運賃値上げが大きく影響しています。

運賃は値下がりは今後考えにくいのでこの高水準はしばらく続くと思われます。

また去年、今年の運賃値上げの儲けで今までの負債を大幅に返済し、自己資本比率も急激に回復したというのがわかります。

財務も健全な方向に進んでいるようです。

キャッシュフローの動き

次にキャッシュフローの流れを見てみましょう。

キャッシュフローの見方

理想は営業活動がプラスであり、投資も積極的にするならば投資活動CFはマイナス、負債を返済出来ているなら財務活動CFもマイナスという【+/-/-】が理想です。

さらに自由に使えるお金フリーキャッシュフローもプラスであることが望ましいです。

キャッシュフロー表を見ると営業活動CFは今年が断然多いですね、それに伴い財務活動CFも大きくマイナス。返済を多くできたことがわかります。

海運事業はコンテナの購入や、船舶の購入などで投資活動はマイナスになりがちなのでここは例年通りというところでしょうか。

フリーキャッシュフローは今年の利益に伴い大きく上昇しています。

配当金推移

去年から今年にかけて配当金が急激に増えていますね。

今後この水準がキープできるのか、配当性向の不安定さから見ると一時的とみるのが自然でしょう。

営業利益も一昨年以前は不安定な動きが続いていました。業績が安定した企業とみるのも時期尚早でしょう。

ただ、今の運賃水準が固定化するのであれば利益も継続してい上げていけるので高水準の配当金を維持できるかもしれません、来年以降の動向に注目したいですね。

商船三井【9104】

【総合海運大手】タンカーなどの油槽船とLNG船の保有隻数は国内最多。

商船三井は連結対象会社500社からなり、海運業を中心にグローバルな事業展開を図っています。

グループ事業ではドライバルク事業、エネルギー・海洋事業、製品輸送事業、関連事業及びその他の5セグメントに分類されており鉄鋼原料、石炭、木材チップなどを運ぶ各種専用船、原油を運ぶタンカー、液化天然ガスを運ぶLNG船、自動車船、様々な製品を運ぶコンテナ船など多彩な分野で要請にこたえる総合輸送グループです。

また技術革新を進めており「海運事業から想起される技術イノベーション開発のリーディングカンパニーとして業界を牽引する」と定め、海運業のDX化を先導する存在を目指している。

引用:商船三井

株価詳細

時価総額1.09兆円
市場プライム
PER2.2倍
ROE55.6%
ROA26.4%
自己資本比率47.4%
配当利回り・会予11.6%

時価総額は日本郵船と同じく1兆円越えと大企業の安定感を見せています。

PERも2.2倍とこちらもかなりの割安水準です。

自己資本比率が日本郵船と違い50%を割っていますが、この水準であれば問題ないレベルですね。

こちらも配当利回りは11.6%とかなりの高水準です。

営業成績

引用:バフェット・コード

日本郵船と同じくこちらも去年ごろから売り上げと利益、利益率ともに急上昇しています。

またロシア侵攻の問題でLNGの運搬需要が増大したことで今年の利益予想も高水準となっています。

引用:IRバンク

売上原価率や販管費には日本郵船と同じく一定水準ですが、日本郵船ほど営業利益率が上昇していませんね。

運賃上昇の恩恵は受けてはいますが、タンカー事業が主な商船三井では原価率がの日本郵船以上に高いのでコスト高となっているようです。

海運事業は本当に原価率が高いですね。

このコストの高さが利益の足を引っ張っている要因でもあります。それを考えると運賃上昇はまさに適正水準になったと言っていいのかもしれません。

有利子負債を昨年、今年にわたって大幅に返済。

自己資本比率も47.4%まで回復しました。今は安定水準ですが、2年前以降の200%を超える有利子負債比率はちょっと怖いですね。

いまの運賃動向が低下に転じる事になればまたこの有利子負債比率に戻っていく可能性もなくはないです。

キャッシュフローの動き

次に商船三井のキャッシュフローの流れです。

キャッシュフロー表を見ると営業活動CFが毎年増減の幅があるにもかかわらず、積極的に投資にお金を回している事が投資CFを見るとわかりますね。

積極的な攻めの事業スタイルであることがわかります。

昨年から今年にかけてフリーキャッシュフローが大幅に上昇しているのは運賃高騰による利益率の上昇です。

ここも来年以降どうなるか注目ですね。

配当金推移

日本郵船と同じく去年から今年にかけて配当金が急激に増配している事がわかります。

しかし来年度の配当金に関して既に減配予想が出ています。

また2010年度では一度100%以上の配当性向で払っていたり、無配当の年もあります。

高配当株投資は「安定した配当金」が最重要なため、配当金が不安定な事は割と懸念事項ですね。

川崎汽船【9107】

【海運大手3社の一角】自動車運搬船のほか、資源を輸送するばら積み船に強い。

川崎汽船は「ドライバルク」、「エネルギー資源」及び「製品物流」の3区分でセグメントが分かれており

「ドライバルク」セグメントにはドライバルク事業、「エネルギー資源」セグメントには油槽船事業、電力事業、液化天然ガス輸送船事業及び海洋事業、「製品物流」セグメントには自動車船事業、物流事業、近海・内航事業及びコンテナ船事業が含まれています。

新計画では、低炭素・脱炭素社会の実現に貢献する事業領域への挑戦を事業機会として成長戦略を策定し、ポートフォリオ戦略に基づき、成長の牽引役となる3つの事業に対して経営資源を集中的に配分しています。

引用:川崎汽船

オーシャンネットワークエクスプレス社(OCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.)の株主。

株価詳細

時価総額7,350億円
市場プライム
PER1.6倍
ROE72.6%
ROA40.8%
自己資本比率56.2%
配当利回り・会予3.8%

時価総額は他の2社と比べると3,000億円ほど低く見劣りしますが、7,000億円だいなので不安定なほどではありません。充分大きな会社ではあります。

PERもかなりの割安水準。

ほかの2社と比べてROEが72.6%、ROAが40.8%高水準であるのは驚きですね。かなり効率的に稼いでいる会社だと言えます。

自己資本比率も問題ありません。

配当金は今年300円と予想され、配当利回りも3.8%と他の2社よりもかなり低いですが高配当株の基準ではあります。配当利回りとしては現実的ラインですね。

他の2社の将来の姿を映し出しているのかもしれません。

営業成績

引用:バフェット・コード

日本郵船に比べて直近2年間で大きく売上高を伸ばしたという印象はありません。

しかし運賃高騰とコンテナ不足により利益率、ROEが格段に上昇しています。

来期予想でもこの高水準は維持されるという予想が出ていますね。

※川崎汽船の売上原価率や販管費率のデータが無かったので割愛します。海運事業なので原価率や販管費率は他の2社とそんなに変わらないと思われます。

現在の自己資本比率は56.2%と優秀ですが過去10%台や、有利子負債比率が400%越えだった事を考えるとかなり危険な状況だったと言えます。

他の2社よりも事業規模が小さいだけに財務に不安定さがありますね。

今回の運賃高騰が救いの水となっていることは間違いありません。今後この健全な財政状況を維持できるかがカギになりますね。

キャッシュフローの動き

次に川崎汽船のキャッシュフローの流れです。

キャッシュフロー表を見ると営業CFが2022年に大きくプラス、フリーキャッシュフローに多額の資金が貯まった事がわかります。

しかし海運事業の特性なのか、2019年、2020年などかなり負債を抱えていた時期にもかかわらず投資CFがマイナスで資金投入しているところを見ると、定期的な投資支出が必要という事がわかります。

今後この積みあがった現金を取り崩していく可能性があります。

配当金推移

※IRBANKに途中の配当性向データが存在しなかったため、決算資料から一部抜粋

かなりの間、無配当状態が続いていた会社。2023年も減配予想が出ている事から、今後低配当への道をたどる可能性があります。

株主還元への意識はあまり高くはなさそうです。

海運3社を比較

それでは海運大手3社を比べてみて、どこに投資妙味があるのか見ていきましょう。

それぞれの数値を比較してみました。

日本郵船商船三井川崎汽船
時価総額1.54兆円1.09兆円7,350億
市場プライムプライムプライム
PER2.1倍2.2倍1.6倍
ROE58.9%55.6%72.6%
ROA32.8%26.4%40.8%
有利子負債率41.14%75.69%41.32%
自己資本比率55.6%47.4%56.2%
配当金・会予1,050円350円300円
配当利回り・会予11.5%11.6%3.8%
配当性向24.3%20.4%8.7%
印象
評価大手の安心感はある、運賃設定が現状のままであれば問題ない。有利子負債率が高い事、自己資本比率が50%を切っている事から少し不安。事業規模が他の2社に比べて小さいことで、業界の変化で業績が乱高下しそうな不安定感がある。
無配期間も多い。

利回りを上げるスパイス的役割

全体的に現在の運賃高騰からなる利益率の上昇により好業績になった経緯があるため、その運賃がどの程度で落ち着くかが今後の業績に大きく響きそうです。

また上昇前の水準に戻るようであればかなり厳しい株になるはずですが、今の水準をこの業界で保てるようであれば今はまだPER通り割安だともいえます。

どちらにせよ配当金推移は不安定な銘柄なのでNAOMARU的には手を出さないというのが結論です。

ただ高配当ポートフォリオの利回りを上げるスパイスとして日本郵船や商船三井など時価総額の大きい企業を一旦持ってみてもいいかも。

少量を買って今後の動向に注視するのもありですね。

どちらにしろ高配当利回り目的に大幅にポートフォリオを割くのは危険です。


いかがだったでしょうか、今回は直近かなりの高配当銘柄になった海運株大手3社を比較してみました。

高配当ポートフォリオ構築の一助となれば幸いです。

みなさんの充実したマネーライフを応援しています🐽

MONEY GROW UP!

Written by NAOMARU

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