みなさんこんにちは小市民投資家のNAOMARUです。
最近高配当ETFの中で配当利回り10%越えのQYLDというETFが流行ってますね。
この高い配当利回りが魅力的で多くの人がQYLDをポートフォリオの一部に加えています。
そんな中、同じグローバルX社が出しているXYLDというQYLDと同じカバードコール戦略を取ったETFも存在しています。

このXYLDも配当利回り10%近く出す高配当ETFで、どっちがいいのかと悩んでる人もいるのではないでしょうか?
そこで今回はこの二つのETFを比較して、どんな特徴があるのか、どんな人に向いているのかを解説していきたいと思います。
購入に悩んでいる方もこの記事を見て参考にしてもらえればうれしいです🐽
- QYLD・XYLDという商品の詳細
- 二つのETFの違い
- 二つのETFが抱えるリスク
※この記事では特定の商品を紹介していますが、利益を保証するものではありません。投資には必ず元本割れのリスクがあります。投資は自己責任でお願いします。
QYLDとXYLDどっちがいいの?それぞれの特徴を比較

QYLDとXYLDとは
QYLDとXYLDとは共にグローバルX社が運用しているカバードコール戦略を取ったETFで、QYLDの対象指数がナスダック100であり、XYLDの対象指数がS&P500です。
二つのETFの詳細はこちら
ティッカー | QYLD |
商品名 | グローバルX NASDAQ100・カバード・コールETF |
設定日 | 2013-12-11 |
純資産 | $6,402,673,181.80 |
発行口数 | 307,470,000 |
経費率 | 0.60% |
12ヶ月利回り | 14.08%(2022/02/10) |
分配頻度 | 毎月分配 |
ティッカー | XYLD |
商品名 | グローバルX S&P500・カバード・コールETF |
設定日 | 2013-06-21 |
純資産 | $1,051,405,546.49 |
発行口数 | 21,390,000 |
経費率 | 0.60% |
12ヶ月利回り | 9.72%(2022/02/10) |
分配頻度 | 毎月分配 |
QYLDとXYLDは対象指数が違えど設定日はほぼ同じ時期に開始されており、経費率も共に0.60%で両方とも毎月分配です。
高利回りで毎月分配はうれしいですよね。
12ヶ月利回りが現時点ではQYLDがとても高くなっていて14.08%。
XYLDが9.72%となっています。
なぜこのような利回りの違いが起こるのかは後述します。
こう比べてみるとQYLDの方が利回りが高いのでQYLDの方が全然いいじゃんと思ってしまう方もいると思います。
しかし、それだけでQYLDを選んでしまうと少し危険かもしれません。
なぜそんなことが言えるのでしょうか?
それにはこのETFの分配金の創出方法に大きく関係しているからです。
次にこのETFの分配金のつくり方「カバード・コール戦略」についてご説明します。
カバードコール戦略とは
グローバルX社のQYLDの商品説明にはこのようなことが書いてあります。

この「カバード・コール戦略」とは何でしょうか?
そしてその戦略で得られる「プレミアム」とは何でしょうか?
詳しくご説明します。
カバード・コール戦略とはオプション取引でコールオプションを売り、オプションプレミアムを稼ぐことでそれを分配金に回すという方法です。
例えば…
ナスダック100のETF「QQQ」が1000円だったとします。
オプション取引ではこのQQQを「1000円で買う事が出来る権利(コールオプション)」を売ることが出来ます。
これがコールオプションの売りです。
分かりやすく言うとQQQを1000円で買えるチケットを売るというイメージです。

投資家はQQQが値上がるか値下がるかわかりません。
もし値上がってしまったら1000円で買っておけばよかったと後悔しますね。
しかし現物で買ってしまって値下がったら損をしてしまいます。
そのためオプション取引で1000円で買えるチケットを100円で買うのです。

コールオプションを買った後にQQQが1200円まで値上がったとします。
すると投資家は1000円で買えるチケットを持っているので、それを使ってQQQをお得に1000円で買います。
これを「権利を行使する」と言います。
売り手は1200円のQQQを1000円で売らなければなりませんから、いくら1200円に値上がっていたとしてもチケット代とQQQの販売代金の合計1100円が利益になります。
このように値上がり益を享受できない分、チケット代を手堅く稼ぐことが出来ます。

今度は逆にQQQが800円に値下がったとします。
すると買い手は1000円で買えるチケットは必要なくなります。市場で普通に800円で買う方がお得だからです。
その場合そのチケットを捨てて市場で新たに800円でQQQを購入します。
これを「権利を放棄する」と言います。
この場合、売り手は評価額800円のQQQとチケット代100円の合わせて900円の利益となります。
このように、チケット代(プレミアム)分の損失が軽減されるのです。
このように「カバード・コール戦略」とはコールオプションを売る事でプレミアムを稼ぐ方法であり、投資というよりは保険を売る商売に近い感覚です。
そしてこの稼いだプレミアムの一部を我々QYLDの保有者に分配金として支払われます。

※オプション取引には「売りつける権利」プットオプションなどもありますが今回は割愛しています。
QYLDとXYLDの特徴と違い

それではそんなカバード・コール戦略を利用して分配金を捻出しているQYLDとXYLDではどのような特徴と違いがあるのでしょうか?
対象とするインデックスの違い
QYLDとXYLDでは対象とするインデックスが違います。
QYLD | XYLD |
ナスダック100 | S&P500 |
S&P500は言わずと知れた有名指数でニューヨーク証券取引所に上場している大型企業500社を対象とした指数です。
セクターの割合も満遍なくカバーしていて安定感のある指数です。
ナスダック100はナスダック証券取引所に上場している企業上位100社を対象とした指数で、ITセクターを多く含むグロース系の指数となります。
両方ともに重複している銘柄も多いですが、S&P500に比べてナスダック100の方がよりセクターの偏りが強いです。
そのためS&P500よりもナスダック100の方がボラティリティが高い傾向にあります。

ボラティリティの違いが利回りに影響
カバード・コール戦略とは「保険の商売」のようなものと先ほどお伝えしましたが、このボラティリティの違いがここに関係してきます。
保険とは不安を覚えるから購入するというのが普通ですね。
このコールオプションのチケット代(プレミアム)も不安が大きいほど値段が高くなります。
つまり、ボラティリティが高ければ高いほどプレミアムも高くなります。
QYLDの利回りがXYLDの利回りより数%高いのもそのためです。
しかし、ボラティリティが高いというのはそれだけ値動きが不安定とも言えます。
そのためボラティリティが低い両商品であってもXYLDにくらべてQYLDの値動きの方が激しいです。
QYLDのチャート
XYLDのチャート
配当金も安定要素の一つ
またナスダック100とS&P500の大きな違いとして「配当金」があります。
これはQYLDやXYLDが出す分配金ではなく、元指数からの配当金です。
先ほどの損益イメージで何気なく書いてありましたが、カバード・コール戦略において配当金も重要な収入源の一つです。
配当金あるなしで、プレミアムの上乗せ分が変わってきます。

その意味ではナスダック100はほとんど配当金がありません。
ITグロース銘柄で構成されているナスダック100の配当利回りは0.55%程度です。(2022/02/11)
それに比べて高配当な成熟企業を含むS&P500の直近の配当利回りは1.48%です。
つまり分配金をほぼオプションプレミアムだけで補うQYLDよりも、配当金+オプションプレミアムで分配金を捻出できるXYLDの方が安定的な分配金を運用できるのです。
どんな人におすすめ?
以上の事を踏まえると、どんな人におすすめなのかは以下のように分けれると思います。
QYLD | ボラティリティが高くても利回りを重視する人 |
XYLD | 利回りが多少減っても安定感が欲しい人 |
ボラティリティが高く手も利回り重視ならばQYLD、配当金生活はボラティリティが低く、安定して分配金を欲しいという人はXYLDと言えます。
しかしカバード・コール戦略は上記で説明した通り値上がり益を享受できません。
そのため株価の値上がりはほとんどない商品です。
さらに値下がった場合はコールオプションを買われないため、指数と同じぐらい下落します。
つまりコツコツ上げてドカンと下げる「コツコツ・ドカン」という値動きになるので、どちらの商品もそのことを意識して購入しましょう。
QYLD/XYLDは松井証券で取り扱っています。詳しくはこちら⇒松井証券
金融派生商品の共通のリスク

QYLDもXYLDも他のVYMやSPYDのような高配当ETFとは根本的に商品内容が異なります。
カバード・コール戦略を取るような商品は「金融派生商品」と呼ばれます。
VYMやSPYDは基本的に構成銘柄の配当金をそのまま分配金に回しますので、配当が少なければ分配金も減りますし、業績の悪い企業があれば構成銘柄から外されます。
わかりやすい構造ですね🐽
しかしQYLDやXYLDはそのような構成にはなっておらずナスダック100やS&P500のオプション取引をグローバルX社が行い商品を成り立たせています。
そのため指数が下落してコールオプションを買う相手がいなければ分配金を出すことが出来ません。
さらに運用総額が減ってくれば早期償還(強制的に売却、返金)される可能性もあります。
今のところ運用総額がQYLDが7千5百億円、XYLDが1千2百億円程度ありますから大丈夫だとは思いますが、買っておけば何があっても大丈夫と楽観しておくのは危険です。
株価が暴落してETFから撤退する人が増えれば早期償還のリスクがある事は頭の片隅に入れておく必要があります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
QYLDとXYLDはともに高配当でカバード・コール戦略を取っていますが、対象指数が違う事で多少の違いが出ているのがお分かりいただけたでしょうか。
また金融派生商品特有のリスクもご理解いただけたと思います。
それではまとめです。
- QYLDもXYLDもカバード・コール戦略を使い分配金を捻出している
- QYLDはナスダック100、XYLDはS&P500のインデックスを対象としている
- QYLDの方がボラティリティが高く利回りが大きい
- XYLDの方が構成銘柄の配当金分、安定した分配が期待できる
- QYLDもXYLDも金融派生商品のためETFを手放す人が増えれば早期償還のリスクがある
このように、大きな利回りの商品であることは=リスクもそれなりにあるという事です。
それを踏まえてもポートフォリオの利回りを上げるにはとても良いETFです。
毎月分配も魅力的なので、インカム強化のスパイスとしてポートフォリオの一部に混ぜてみてはいかがでしょうか?
みなさんの充実したマネーライフを応援しています🐽

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Written by NAOMARU
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