
この記事では株式投資を始めたばかりの方に銘柄選定に役立つ株価指標を解説しています。
今回は株価指標ではないですが、成長株を見つけるために役立つ「ROE」について解説していきたいと思います。
みなさんもせっかく投資するなら安定もそうですが、出来れば株価が上がっていく株に投資したいですよね。
そんなの時に頼りになるのが「ROE」自己資本当期純利益率です。
今回はこの「ROE」と以前ご紹介した「PER」「PBR」を活用して
成長株で更に割安な株を探すテクニックをご紹介します。
- 「ROE」の意味と使い方
- 「ROE」「PER」「PBR」の関係
- 成長株で割安な株の見つけ方
- 「高ROE」の注意点
まだ「PER」「PBR」の記事を読んでいないという方はこちらもご覧ください。
ROEとは
ROE=Retum On Equity
「自己資本当期純利益率」もしくは「自己資本利益率」と略される場合があります。
「アールオーイ―」と呼びます。
ROEは、株主の所有分である自己資本を元手にどれくらいの利益を出すことが出来ているかを見る事が出来ます。
計算式は下記のようになります。

計算式でわかるようにROEが高ければ高いほど、自己の資本をうまく活用して利益が出せている事になります
また収益力を利益の”金額”だけで判断してしまうと、規模の大きな企業の方が規模の小さい企業より収益力が高いと判断してしまいがちですが
利益率でみることで企業規模の大小にかかわらず収益率を判断する事が出来ます。

企業規模に関わらず
ROEが高ければ高いほど収益性が高く成長性のある会社を選ぶことが出来るのです。
ROEが高い株は株価が上がりやすい⁉

一般的にROEが高ければ収益力が高い優良企業と判断され、逆にROEが低いと収益率が低いと判断されるため
投資をするならばROEが高い企業に率先して投資することをお勧めします。
ROEが高い企業は収益力が高いため今後も株価が上昇することが見込まれるからです。
またROEが高いにもかかわらず株価が低い、つまり収益力の高さが市場で正当に評価されていない銘柄を探すのも一つの方法です。
その為にはROEだけでなくPERも併用して考えることが必要です。
ROEとPER、PBRは密接に関係してますのでそれを深く理解すると成長株であり割安な株を見つける事も可能になります。
PER、PBR、ROEの関係
PER、PBR、ROEの関係を表す計算式が下記になります。
PBR=PER×ROE
なぜ上記の様な計算式になるのか

この事からどのようなことが分かるのか
PBRが低い銘柄であれば必然的にPER×ROEも低いと考えられます。
ROEが低くその結果PBRが低いのならば株価はROEが低い事を反映した妥当な株価と言えます。
つまり低PBRの株が「割安」だと判断してもROEの値が低ければ成長力が期待できず「PBR1倍」のあたりで頭打ちしてしまうという事です。
逆にROEが高いのにPERが低いため結果的にPBRが低くなっている銘柄は収益力が高い割に割安に放置されている可能性があります。
つまり
高ROE、低PER、低PBRは=割安に放置された優良株
である可能性が高いです。
逆に
低ROE、高PER、高PBRの場合は=実態より買われすぎている
という事で注意が必要です。
割安な成長株の見つけ方

成長株とは
増収増益を通年で続けており長期的に見て株価の上昇が期待できる銘柄
近年では「GAFAM」などが「グロース株」という呼び方で話題となっており、通年を通して株価が右肩上がりである事が特徴的です。
通年で増収増益を続けている会社は四季報を見れば簡単にわかります。
営業利益が連続で増加しているか?
経常利益が連続で増加しているか?
純利益が連続で増加しているか?
また成長株の特徴として
高PER、高ROE、低配当利回り
が挙げられます。
PERは今後期待される利益を加味していますから成長株は高PER化します。また一株当たりの利益率も高いので高ROEとなります。
逆に利益を企業拡大の投資に使うため配当に回る金額が下がります。そのため低配当利回りとなるのです。
銘柄自体は「割高」と判断されますが、今後も成長を続けるのであればその株価は決して割高とは言い切れないのです。
例えば…
毎年増収増益を繰り返している会社の株価
1株当たり当期純利益100円 株価6000円
PERは60倍だが…
今後も増収増益を考えると⇒3年後の当期純利益200円、さらに⇒6円後の当期純利益400円
と予想
6年後の当期純利益で計算したPERは6000円÷400円=15倍
高い成長性を考えれば今の株価が割高とは一概に言えない。
参考元:「ファンダメンタル投資の教科書」著:足立武志
このように高PERで増収増益の会社を探すと成長株は見つけやすいですが、その数はかなりたくさん存在します。
しかも利益率が低くても増益していれば連続増益となりますから、それを見極めなければなりません。
そこでROEを活用します。
高ROEの銘柄であればより高い収益性のある会社に絞ることが出来ます。
例えばROE5%の会社とROE20%の会社では将来得られる利益に歴然の差が生まれます。
A社 | (ROE5%) | B社 | (ROE20%) | |
---|---|---|---|---|
純資産 | 利益 | 純資産 | 利益 | |
現在 | 20,000 | 1,000 | 5,000 | 1,000 |
1年後 | 21,000 | 1,050 | 6,000 | 1,200 |
2年後 | 22,050 | 1,103 | 7,200 | 1,440 |
3年後 | 23,153 | 1,158 | 8,660 | 1,732 |
4年後 | 24,311 | 1,216 | 10,392 | 2,078 |
5年後 | 25,527 | 1,276 | 12,470 | 2,494 |
B社の方が純資産は低いもの自己資本利益率が高いため収益性が高く
そのため企業の純資産の成長スピードが速い事が分かります。
あくまでも今後も現状の利益増加が見込まれるという事を前提ですが、高ROEである企業は「成長株」として見ておくといいでしょう。
また大型株よりも小型株の方が成長率は高くなる傾向があります。
大型株は純資産も大きいため高ROEになりにくくなります。
そのため株価の上昇率で言うと鈍いです。
逆に小型株は純資産が小さいため高ROEとなりやすく。株価が20倍30倍となる事も珍しくありません。
しかし、小型株は純資産が小さいため何かアクシデントや業績が悪化した場合急激に株価を下げる可能性もあります。
ボラティリティの高い小型株に投資する場合はリスク許容度の範囲で投資をすることが必要です。
高ROE/低PER「割安成長株」を探すには

では最後に成長株で更にその株を割安で手に入れるにはどうしたらいいでしょうか?
前述したことを踏まえて、まずは高ROEでかつ低PERの銘柄が無いかを探しましょう。
成長企業は全てが全て高PERであるとは限りません
高ROEであるにも関わらず低PERの銘柄も存在します。
それは以下の理由が考えられます
- 期待される成長率が低いため低PERになってしまう
- 現在の成長率は高いが、長く続かないと思われている
PERの時にお話ししたようにPERは投資家の期待値で決まります。
実際に成長率が低い場合の低PER化は「割安」ではないかもしれませんが
2番目の長くは続かないと思われて低PER化されてしまっており、高ROEのままであるならばそれは「割安成長株」かもしれません。
特に不動産関係や商社など今後の経済的展望を投資家が悲観的に見ている場合「低PER化」してしまう業態もあります。
しかし、悲観的な業態の中に埋もれて「低PER化」してしまった高収益な企業は
「低PER/高ROE」として今後急激に成長するお宝株になる可能性を秘めているのです。
業績の変化に敏感になっておく
最後に「低PER/高ROE」銘柄の注意点ですが。
低PERの場合、注目されていない小型株が多いのが特徴です。そのため前述した通りボラティリティも高くなりがちです。
そのため不祥事や業績悪化になると株価急落の恐れがります。
株価が下落したからと言って安易に「割安」になったとみるのは危険です。
投資家が何か不安材料を見つけて売りに出ている可能性もあるからです。
その場合は「決算短信」や自社ホームページなどで月次売上などタイムリーな情報を確認しなぜ急落しているのかを探る必要があります。
また、わからなくても急落中はすぐに手を出さず、いったん落ち着くのを待った方が賢明です。
その間に新たな決算発表でマイナス要因の情報が開示されるかもしれません。
全ては株価が物語る
それを忘れないようにしましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は「ROE」について解説していきました。
企業の一番重要な収益性を図る重要な数値、これを知っていれば銘柄選定に役立ちますね。
他にも銘柄選定に重要な株価指数をご紹介しているのでそちらもご覧ください。
株の銘柄選定にはファンダメンタル分析や株価指標の知識が必須です。
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みなさんの充実したマネーライフを応援しています☆
Written by NAOMARU
≪参考書籍≫
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