【ブックレビュー】世界一楽しい決算書の読み方/大手町のランダムウォーカー

おすすめ投資本

世界一楽しい決算書の読み方

著者/大手町のランダムウォーカー

イラスト/わかる

株式会社KADOKAWA


【問題】

引用:「世界一楽しい決算書の読み方」KADOKAWA

皆さんこんにちは小市民投資家のNAOMARUです!

いきなり問題でなんだなんだ?と思った方もいらっしゃると思いますが、理由は後述いたします!

皆さんは株の銘柄を選ぶ際何を基準に選んでいますか?

チャートの傾向?配当利回り?自分の直感?

でも1番あてにしてしまうのは人からのオススメじゃないでしょうか?

確かに実績ある人や信頼している人のオススメは安心してしまいますよね。

私も実際オススメされた銘柄は買う検討してしまいますし、どこか信頼してしまいます。

ただこのサイトで何度も言っているように、投資は自己責任、買うか買わないかは自分でしっかり納得して買いたいですよね。

ではプロの投資家さん達はどんなところを見て企業を判断しているのでしょうか?

その答えの1つが「決算書」です。これは企業の業績が書かれた財務諸表の総称で、なかでも貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の三表を「財務三表」と言われています。

今回ご紹介する本書はこの財務三表をわかりやすい図にし、それをクイズ形式にして書いた珍しい解説書です。

冒頭で出題した問題は実際に本書で出題されている問題です。

決算書からその企業のクセを見抜き、企業の業績を読み解くと、企業の経営戦略が見えてくるのです!

本書が面白いのはこの問題を銀行マンや個人投資家、学生、営業さんと様々な視点で説いていく過程が描かれるので、人により答えに向かうアプローチが変わり、企業に対する考え方も異なる事がわかる点です。

それでは上記の問題をもう一度見てみましょう。

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貸借対照表を考える

貸借対照表は主に資産の部と負債の部、そして純資産と3つに分かれています。

そしてその中でも資産の場合「流動資産」「固定資産」。負債の場合「流動負債」「固定負債」と分かれています。

引用:@OTE_WALK

この流動と固定とは資金回収・資金返済の期間によって分かています。目安としては1年で、1年以内に回収できる資産(主に現金など)を流動資産、逆に1年以内に返済しなければならないもの(借入など)を流動負債と言います。

また、資産から負債を引いた企業が返済しなくてもいい資産を純資産と言います。

ではそれを踏まえて先ほどの問題を見てみましょう!

引用:「世界一楽しい決算書の読み方」KADOKAWA

企業に対する前提知識で考える

銀行マン
銀行マン

同じ三社でも売ってる商品が違うのでB/S(バランスシート)の形も違いますね

営業さん
営業さん

ホントですね、ニトリは家具、ファーストリテイリングは衣類、良品計画は雑貨や衣類、食品。消耗品が多いですね。

学生
学生

この前就活でニトリの説明会行ってきたんですけど、めっちゃ優良企業らしいですよ

投資家
投資家

そうそう、32期連続増収増益なんだよね

営業さん
営業さん

え、大ヒントじゃないですか?それなら純資産が大きい②か③がニトリでは?

学生
学生

ですね。ただどちらも純資産が同じくらいの比率だから、イマイチ決め手に欠けますね

ここで「ニトリが増収増益している」という知識からB/Sの形に当たりをつけています。では②と③の違いは何なのでしょうか?企業の商品の特徴から考えてみましょう。

固定資産から考える

営業さん
営業さん

②と③の違いは固定資産の大きさですかね。

学生
学生

3社とも店舗はリアルとWEB両方展開していますね。店舗数は圧倒的にユニクロが多いので②がファーストリテイリングじゃないですか?

銀行マン
銀行マン

店舗数はファーストリテイリングがぶっちぎりですが、僕はニトリの商材が家具なのが気になりますね。家具は店舗面積が広くなりがちですから。

営業さん
営業さん

確かにニトリはロードサイドなどに大型店舗を持ってますが、都心にたくさん出店している方が固定資産は大きくなるような気が…

投資家
投資家

店舗もそうだけど、倉庫も考えたほうがいいんじゃないかな。ユニクロも倉庫はあるだろうけど、店舗にも在庫はたくさんある。それに比べてニトリは店舗にあるのはほとんど展示品で実際の在庫は別の場所にあるよね。

銀行マン
銀行マン

言われてみればそうですね!しかもニトリは大きな家具類を自社で製造してますし、店舗・倉庫・工場のすべてが大型化しそうですね!

学生
学生

ファーストリテイリングと良品計画は自社で製造してないんですか?

投資家
投資家

確か工場を持ってるのはニトリだけだよ。衣類は国内外に高品質な製造工場がたくさんあるからね

営業さん
営業さん

じゃあ、純資産が大きくて固定資産も大きい②がニトリですね!

正解!は②がニトリです。(ちなみに①がファーストリテイリング、③が良品計画です)

この3社のうち、工場と物流設備を保持しているのはニトリHDだけでファーストリテイリングと良品計画は提携企業が中心となっています。ニトリHD設備類の固定資産が非常に大きくなっているのが特徴です。


いかがだったでしょうか?決算書を読み解く過程がとても面白いですし、わかり易いですよね!

本書ではこのようなクイズがいくつもあり決算を読み解く反復練習ができるのです。

これに慣れると決算書への苦手意識がだいぶ薄まりますね。

損益計算書を考える

損益計算書とは「プロフィット&ロス・ステートメント」略してP/Lとも呼ばれていて「その年にどれだけ儲かったのか?」という企業の成績表です。

引用:@OTE_WALK

売上原価や販管費、営業外費用、特別損失、法人税等は全て「費用」に大別され。売上高、営業外収益、特別利益などは「収益」に大別されます。そして収益から費用を引いたのが「利益」となります。

ちなみに利益の中にも下記の様な分類があり。それぞれに特徴があります。

引用:@OTE_WALK
  • 売上総利益…粗利益とも呼ばれ売上高から原価を差し引いて算出されたもの。
  • 営業利益…売上総利益から販管費(売上に貢献するための費用)を差し引いて算出されたもの。宣伝広告費や、従業員の給料も含まれているため会社の経営スタンスが垣間見える。
  • 経常利益…「会社の実力が一番反映される利益」と言われ、本業以外の損益が加算される利益。
  • 税引前当期純利益…営業利益や経常利益とは違い、その年に特別に起こった損益を加算します。(例えば火災損失や、事業売却など)
  • 当期純利益…税引前当期純利益から法人税などの税金コストを差し引いた利益。

実際の損益計算書にはこのような図はなく項目と金額だけですが、このように簡略化して体系的に見るとわかりやすいですね。

本書では、この損益計算書の図を手さぐりに企業を当てるクイズも出題されているので、そちらも併せてご覧ください。

企業がどのようなお金の使い方をしているのかを勉強することが出来ますよ!

キャッシュフロー計算書を考える

次に投資家の方が特に意識しているキャッシュフロー計算書のタイプ別グラフも見ていきましょう!

まずはキャッシュフロー計算書の構成です。

引用:@OTE_WALK

期首現金と期末現金でそこに至る現金の流れがキャッシュフロー計算書です。これも本書ではわかり易く図にしていますね。

営業活動キャッシュフローは本業の営業活動でどのくらいお金を稼いだかです。

投資活動キャッシュフローは設備投資や配当にお金が外に流れ出たらマイナス、逆に設備の売却などでお金が入ってきたらプラスです。

一概にマイナスだから悪いと言う訳ではありません。勢いのある企業は積極的に設備投資をしてマイナス傾向になりますし、経営困難で資産売却などすればプラスにはなりますが経営縮小に繋がります。

財務活動キャッシュフローは借り入れや資金調達などにより増減します。新規事業を始めたり、ベンチャー企業などはここがプラスになりやすく、収益が安定してきて借り入れの返済などに資金が流れるとここがマイナスになります。

以上のことを踏まえキャッシュフロー表のパターンを見ていきましょう。

いかがでしょうか、単純なパターン化をすることで企業が今どういう状況かわかりやすく顕在化しますね。

投資の判断基準としてもとても勉強になります。

本書には他にも様々なキャッシュフローパターンを紹介していますのでぜひ見てみてください。

まとめ

いかがだったでしょうか、実際には貸借対照表も損益計算書もキャッシュフロー計算書もわかりやすい図になっているわけではありません。

ただ、このように自分で図式を脳内変換できればとても理解しやすくなるはずです。

またこの本には実際の貸借対照表の数値をエクセル上で図式化する方法まで載せているので、数字だけでわかりにくい時に自分で実際に図式を作って理解ししやすくしたり、クイズを作ることもできます。

本書で書かれていることはまだ基本の部分ではありますが、決算書への苦手意識をなくし慣れ親しむには最適な一冊だと思います。

是非一度、会計クイズ試してみてはいかがでしょうか。

Written by NAOMARU

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