「なんとなく」からの銘柄選びの卒業
「株を買うなら最低限知っておきたい」
この文言でつい手が伸びてしまった人も多いだろう。
なぜなら株式投資において、株の購入理由なんて意外に曖昧なもので明確に決めて購入している個人投資家は少ないのではないでしょうか

例えばネットの評判だったり、有名投資家のおすすめだったり…などなど
現にいまはインデックス投資がブームであり、NASDAQ100やS&P500が買われているし、GAFAMといった有名企業の個別株を購入する人が増えています。
そんな個人投資家の方々になぜ購入したかを聞いても、実際に決算書に目を通し今後の業績展開や売上高の推移に目を通している方は意外に少ないはずです。
現に私も、昔は世間のおすすめや株価上昇を見ただけで判断していた部類の人間です。
そんな方に、今回の書籍はかなりやさしい本になっています。
考え方は2階建て

特に本書の特徴として「成長株」「割安株」「復活株」という、株の定義をしてそれを見極めるために下記の項目を確認することを説明しています。
- 「四季報」で倒産しない会社を選ぶ
- 「決算短信」で売上高の推移など増収増益をみる
- 「PER」を見る
- 「PBR」を見る
- 「ROE」を見る
- 「ROA」を見る
この項目を見て「?」となるのがひとつでもあったら是非本書を手に取ってほしい。
数ある株式指標でもまずは使いやすく厳選して解説をしてくれるので、自分の銘柄選定時の「なんとなく」を外してくれるはずです。
また本書の面白いところは「ファンダメンタル投資」と題しているがかなり「投機」に近い本だという事です。
なぜなら「株価が下落トレンドに入ったら迷わず損切をすること」というのを本書の後半で説明しています。
つまり「テクニカル分析」ですね。
本書の構成は2階建てになっていて…
- 1階:「ファンダメンタル分析」で銘柄選定
- 2階:「テクニカル分析」で買い時と売り時を考える
という事なんです。
本書が刊行された2012年はまだまだ個別株投資が本流。
今のようにインデックスに投資して下がっても売らずにコツコツと積立投資を続けるというスタイルはまだブームではなかった時代の話です。
高配当の個別株投資をしている方なら理解されていると思いますが個別株を扱うリスクとして「デフォルト」があります。
そのため常に「損切ライン」というのはいくら成長を続ける株や安定した株であっても考えておかなければならないという事です。
なので、前半かなり「投資」に力を入れている本書も後半からガラッと「投機」の話が始まります。
株価が全てを物語る

本書で面白いのは前半あんなに「ファンダメンタル」の事について丁寧に教えているにもかかわらず
「ROE」が高くたって株価は下がる
「増収増益」だって株価は下がる
「キャッシュフロー」が黒字だって株価は下がる
と読んでいたことを思いっきりひっくり返してくるところです。
なんだよ!と思いますが、その事についてはやはり2階部分の「テクニカル分析」が必要になってくるという事なんです。
本書の後半で解説している事
- 上昇トレンドと下降トレンド
- ファンダメンタル分析で売り時を考えない
- 移動平均線を使ったトレンドフォロー
- 「業績」が株価に反映されない理由
- 「株価」の先見性
それと個人投資家とプロの投資家とは絶対的な情報量の格差があるから「株価が下がっている」にはそれなりの理由があり、
それはプロの投資家の「先見性」が顕在化したものだから「株価を信じろ」というのが著者が強く伝えている事です。
企業業績のいい会社の株価が下がったらついつい「割安」だと思ってナンピン買いに走るがそれは絶対にやめた方がいいそうです。
株価が下がるには必ず理由があって、プロの投資家の「先見性」と「情報量」に株価が反応しているという事です。
やはり「株価がすべてを物語る」ということですね。
何はともあれこの本は「投資本」ではなく「投機本」です。
個別株を買うなら必ず「決算短信」や「四季報」を確認して、売買には「テクニカル分析」の知識を持ちましょうと著者は言います。
やはりどちらに偏るではなく「2階建て」というのがいい表現ですかね。
全世界投資で長期積み立てをする方というよりは。成長株、高配当株の個別銘柄に投資したいという方にお勧めですね。

みなさんの充実したマネーライフを応援しています☆
Written by NAOMARU
≪著者説明≫
足立武志 公式プロフィール
公認会計士、税理士、ファイナンシャル・プランナー、足立公認会計士事務所代表、株式会社マネーガーディアン取締役。
1975年神奈川県生まれ。一橋大学商学部経営学科卒業。個人投資家としても活動している。
株式投資に関する書籍を多数執筆しており、『株を買うなら最低限知っておきたい ファンダメンタル投資の教科書』(ダイヤモンド社)は15万部を超えるベストセラー。
『株を買うなら最低限知っておきたい 株価チャートの教科書』
『お金偏差値30からの株式投資』
『賢く稼ぐコツがわかる!株のはじめ方』
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