皆さんこんにちは、小市民投資家のNAOMARUです。

先日、このような記事が株クラ界隈を賑わしています。

これは岸田総理が野党からの質問で企業の自社株買いへの規制を求めた事に対して、一定のガイドラインを示す事に言及したと言うニュースです。
この発言に対して株クラ界隈は猛反発。

これ以上日本の株式市場を冷え込ませるな!

誰も日本株を買わなくなるぞ!
と、怒号が飛び交いました。
市場もそれに反応して下落、岸田首相は金融所得課税の時と同じく株式市場からかなり嫌われてしまいました
このニュースを見て、なんでこんなに怒ってるのだろうと思った方や、
そもそも自社株買いってなんだっけ?という方のために、今回は「自社株買い」について解説したいと思います。
この記事を読めば、自社株買いがどういう仕組みなのか、どうして企業が自社株買いをするのかの理由がわかります
そして今なぜ政府に狙われてしまったのかについても解説します。
- 自社株買いの仕組み
- 自社株買いのメリット・デメリット
- 自社株買いが批判される理由
なぜ狙われる⁉自社株買いのメリット・デメリットをわかりやすく解説

自社株買いとは
自社株買いとは、その名の通り企業が自社の株を購入する事です。
自社の株を購入するという事は市場に出回っている株を買い戻すことなので、市場の株が減るという事は必然的に一株あたりの価値が上がります。
例えば
「一株当たりの当期純利益」です。
1000株が流通していて、その企業の利益が1000万円だった場合一株の利益は1万円です。
これを自社株買いをして500株買い戻したとします。
すると流通している株が500株になるので⇒その株を持っている投資家は1株2万円の利益になるのです。
一株の価値が上がれば、その株はお買い得(割安)と判断されるので売買が盛んになります。
それにより株価が上昇するといわれています。
このことから「自社株買い」は株主還元の手法の1つとされています。
様々な株主還元の方法
そもそも株式会社とは株主からお金を投資してもらい事業をしているため、企業が利益を出したら株主に還元する義務があります。
しかし、その方法はいくつかあります。
- 配当金
- 事業内投資
- 自社株買い
何故こんなに種類があるかと言うと、成長企業や成熟企業など企業によってその成長形態が様々だからです。
例えば
どんどんと事業を拡大させたいベンチャー企業などは配当金で株主に還元してしまうと成長の原資が減ってしまいます。
そのため事業で得た利益を事業内投資という形で事業拡大することで結果的に株価が上がり投資家に還元していることになります。
逆に事業拡大を終えた成熟企業であれば利益を事業に回すよりも配当金や自社株買いをすることで投資家に還元できるのです。
このように成長形態が企業によって違う事から株主還元の方法も変わってきます。
事業内投資と配当金の違いは分かりやすいのですが、ではなぜ配当金ではなく企業は自社株買いをするのでしょうか。
ここには配当金では得られない企業側のメリットがあるからです。
なぜ自社株買いをするのか

配当金として株主に還元するのではなく自社株買いをして株の価値を上げ株主に還元する方法を企業がするには大きなメリットがあります。
- 持ち株割合が増える
- 敵対的買収を防げる
- 再度資金調達をする際に新株発行しなくて済む
持ち株割合が増える
株には議決権というものが付帯されています。
自社株買いをするという事は、市場に出回っている株数を買い戻すという事です。
そうなると当然その企業の株主が減るということになります。
経営者というのはあまり個人投資家が多く株を持っている事を好ましく思っておらず、少なくまとめたいと思っています。
なぜなら議決権を持つ株主が減る方が企業の運営をコントロールしやすいからです。
自社株買いを行い企業の持ち株割合を増やすことで、より経営方針を決めやすくなるメリットがあります。
また、株主が減るという事は配当金を出す数も減るので企業側のメリットになります。
逆に、市場に出回る株数が減るという事は、当然その分一株当たりの配当金が増える期待が高まりますので株主にとってもメリットになります。
敵対的買収を防げる
一株の価値を上げ株価を上げるもう一つの理由として敵対的買収を防げる効果があります。
安く売られすぎている株は多くの投資家が狙っています。
特に外国人投資家などによる敵対的買収は企業にとって脅威となります。
そのため、企業価値が上がったてもいまだに安い株価だった場合、株も適正価値に上げる必要があるため自社株買いを行います。
これは市場で「割安指標」と捉えられ
「自社株買いをするという事はあの企業の株は割安に違いない」と思われ買われるために株価が上昇します。
こうして自社株買いをして株価を上げることにより敵対的買収しにくくするのです。
再度資金調達をする際に新株発行しなくて済む
自社株買いをした株を企業は二つの方法で処理することができます。
それが「消却」と「金庫株」です。
「消却」はその名の通り、買い戻した株を消してしまう事です。これをするとその株は無くなり、新しく資金調達する場合は新株発行するしかありません。
新株発行するよりも金庫株として保管しておいて資金調達する際に再度売り出す方が簡単ですし、
資産として取って置ける金庫化株は企業買収など現金を温存しながら買収することも可能です。
また、自社株買いをして自社の金庫株にすると保有株数が増え、さらに自社株買いの効果で株価が上がれば金庫株の価格も上がるという資産を増やす方法にも使えるです。
このように様々なメリットがある自社株買いですが、メリットだけではなくデメリットもある事を抑えておきましょう。
自社株買いのデメリット

自社株買いのデメリットについては下記のようなことが考えられます。
- 株価が下がる事もある
- 消却の際は資産が減少する
- 買い戻す資金が必要
株価が下がる事もある
自社株買いをすることですべての株が高騰するかというとそうではありません。
自社株買いをするという事は「事業拡大の余力が減った」と捉えられる事もあります。
特に成長企業だった場合、この企業はもはや成長余力がなくなったのかもしれないと嫌気され株価が減少することもあります。
株の価値が上がるからと言って一概に株価が上昇するとは言えないのです。
消却の際は資産が減少
自社株買いをしたものを金庫株にするのではなく、消却した場合は当然のことながら同額の資産が減ります。
一株に当たる価値は上がりますが、償却した際の資産は減るのでバランスシートの上では資産減少になります。
買い戻す資金が必要
自社株買いをするという事は当然ですが、買う資金が必要です。
そのため自社株買いをした際の企業の現金比率が下がります。
資金繰りに苦しんでいる時などにこの現金比率を下げてまで自社株買いをすることは非常に危険です。
またこの現金が政府に自社株買いを狙われる理由にもつながります。
自社株買いが政府に狙われる理由

この現金とは「内部留保」と言われ、これは社員の給料の原資にもされています。
今回の岸田総理の記事ではここを狙われたというわけです。
「内部留保」に回っている現金が社員の給料に回らずに、自社株買いをする資金に充てられているという事です。
野党曰く自社株買いをする前に賃金のアップを優先させるべきではないかという事ですね。
岸田総理は「賃金アップ」を政策に掲げていますから、そこを言及されるのは当然といえば当然です。
しかし、日本企業は自社株買いが欧米企業に比べて少なすぎるのが現状です。
現にアメリカのGAFAMなどはどんどんと自社株買いを行い企業価値を高め、大企業になることで社員の賃金も上昇しています。
また前述したように安すぎる株価は外資から狙われる可能性もあります。
このように自社株買いには一長一短があるため、政治の意向で一律に決めることは危険であると考えられます。
まとめ
いかがだったでしょうか、「自社株買い」についてわかりやすく解説してきました。
株式市場では株についていろいろな方法で価値を高めようとしていることがわかりますね。
では今回のまとめです。
- 自社株買いは一株に対する価値を高める株主還元の方法
- 自社株の価値を高めることで敵対的買収を防げる
- 持ち株割合を増やし経営をコントロールしやすくする
- 自社株買いには給料の原資でもある現金が必要
- 自社株買いをしても株価が上昇するとは限らない
このように株価や株の価値を操作する方法ではありますが、企業の戦略によってさまざまな使い方があります。
一概に自社株買いを規制することで賃金が上がると思い込んでいるのは危険と言わざるを得ません。
むしろ日本経済を低迷させることに繋がりかねないので慎重に議論する必要があります。
今回の記事がみなさんのマネーリテラシー向上の一助になったら幸いです。
みなさんの充実したマネーライフを応援しています☆

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Written by NAOMARU
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