みなさんこんにちは小市民投資家のNAOMARUです。
今回は投資信託を買うなら必ず目を通すことになる「目論見書」について解説していきます。
目論見書と聞くとなんだか難しそう。と思ってついつい読み飛ばしてしまったり、理解せずに眺めていた方もいらっしゃるんじゃないでしょうか?
しかし、目論見書はとても大事な資料。企業にとっての決算書のようなものです。
その投資信託がどのように運用されているのかをしっかり把握できるので是非読めるようになりましょう。
今回はわかりやすく実際の目論見書を見ながら説明していきます。
目論見書が読めるようになったら手数料をぼったくるような「罠商品」に引っかかることもなくなりますよ!
是非最後までごらんください。
- 目論見書の各項目の意味
- 目論見書の中で重要視すべき項目
目論見書とは?投資信託を買うなら絶対に知っておきたい読み方
目論見書とは
そもそも目論見書とは(交付目論見書とも言う)投資信託の取り扱い説明書です。
その投資信託がどのような投資方針で運用されているのか、投資額がいくらで、何の銘柄に投資をしているのかなどがすべて書かれており、その投資信託の運用コストやリスクもわかります。
こちらが実際の目論見書の表紙になります。

今回はこのニッセイの目論見書を見ながら解説していきたいと思います。
委託会社の情報・商品分類等 ※重要
表紙をめくると次に「委託会社の情報・商品分類等」のページになります。

このページではその投資信託の運用会社の規模と商品がどういった属性のものかを見ることができます。

この目論見書では委託会社が「ニッセイアセットマネジメント株式会社」で資本金100億円、運用する投資信託財産が9兆円となかなか大きいですね。
ちなみに「eMAXISSシリーズ」で有名な三菱UFJ国際投信の資本金は20億円、投資信託財産19兆円なのでまずまずの規模だといえます。

次に「商品分類等」です。
ここが一番目にする項目じゃないでしょうか?一つずつ確認します。
「単位型・追加型」…単位型とは決められた募集期間でしか購入ができないタイプです。運用が始まると追加での購入は次の償還日までできません。逆に追加型は「オープン型」とも呼ばれ、いつでも追加購入することができます。最近ではほとんどが「追加型」になっています。
「投資対象地域」…これは投資対象としている地域です。この例では日経平均に連動するため「国内」となっていますが、S&P500に連動するファンドであれば「海外」バランスファンドやアクィブファンドのように日本や海外を混ぜている場合は「内外」などと表記されます。
「投資対象資産」…これはこの投資信託が何を対象として投資しているかというものです。この例では日経平均なので「株式」となりますが、債券ファンドだったら「債券」債券や株式などいろんな資産を混ぜたバランスファンドなどは「資産複合」といったように表記される場合もあります。
「補足分類」…補足分類とはそのファンドがインデックスに連動しているかどうかというものです。アクティブファンドではこの項目自体がありません。インデックスファンドを探している方は必ずこの補足分類に「インデックス型」と書いてあることを確認してください。
「投資対象資産」…投資対象資産がもう一度出てきますが、これは「属性区分」の方です。属性区分とは投資信託協会が定めている区分でいくつもの属性に分けられています。

その区分のなかで投資信託証券なので「その他の資産(株式一般)」という区分で明記されています。
「決算頻度」…決算頻度とは毎年何回決算があり、配当金が何回出るかがわかります。投資信託は分配金を「受取型」か「再投資型」を選ぶ事ができるので、受取型を選んだ方はその回数毎年受け取ることができます。再投資型は自動で分配金を再投資してくれるので便利ですしその時に税金もかかりません。
「投資対象地域」…商品分類の投資対象地域は「国内」や「海外」など大別しているだけでしたが、属性区分の方の投資対象地域はもっと細かく分けられています。この例では「日本」ですが、S&P500インデックスなら「北米」、先進国株式ファンドなどは「グローバル(日本を除く)」と表記されます。
特に日本を除くのか除かないのかで投資方法も変わってくるのでしっかり確認しておきましょう。
「投資形態」…その投資信託がどのような運用方法で投資をしているかを見ることができます。主に「ファミリーファンド」と「ファンドオブファンズ」の2種類がありそれぞれで投資する方法が変わります。

ファミリーファンドとは複数のベビーファンドがマザーファンドと呼ばれる親投資信託に投資をし、そのマザーファンドが株や債券などの資産に投資をすることになります。一般の投資家はベビーファンドを購入することになります。
ファミリーファンドの特徴は低コストで多くの資産に投資をすることが可能というものです。

ファンド・オブ・ファンズは一般の投資家が投資したファンドが複数の投資信託に投資をする方法です。各投資信託はそれぞれの目的をもって資産に投資するので、広く分散した投資が可能になります。
しかし、ファンド・オブ・ファンズは投資報酬を2重に支払っている事に注意が必要です。
「対象インデックス」…この項目はインデックスファンドのみ表記されています。なんのインデックスに連動したファンドかを知ることができます。この例でいえば「日経225」がこのファンドの対象としているインデックスです。
ファンドの目的・特徴 ※重要
次にファンドの目的・特徴のページに行きます。
ここではそのファンドがどのような投資方針をもって運用されているかとそのファンドの構造が開設されています。

「ファンドの目的」…この項目でこのファンドがどういった運用方針を取っているかがわかります。インデックスファンドであればなんのインデックスに連動した成果を目指す商品かが書かれています。この例で言えば「日経225」ですね。
ちなみにアクティブファンドの目論見書では対象インデックスは無くそのファンド独自の投資方針が書かれています☟

「ファンドの特徴」…ファンドの特徴とはそのファンドが他のファンドとどう違うのかが書かれています。ファンドの魅力ですね。
インデックスファンドの魅力は何といってもその指数と乖離しないことが第一なので、どのように乖離させないかというプロセスが重要になってきます。
この例では「日経225」の株価に連動するように同指数の構成銘柄から200銘柄以上に等株数投資を行う事や、モニタリングから銘柄購入、ポートフォリオ構築までの運用プロセスが説明されています。
また、購入・換金時の手数料が無料なのも魅力の一つとして書かれています。
インデックスファンドの「ファンドの特徴」は割と地味です。
これもアクティブファンドだと全然違います☟

ファンドの特徴ほど他のファンドと差をつけられるのでアクティブファンドの腕の見せ所ですね。
ファンドの仕組み
次のページもファンドの目的・特徴が続きますが、内容はその詳細に移っていきます。

「ファンドの仕組み」…ファンドの仕組みは先ほど説明した、そのファンドが「ファミリーファンド」方式で運用されるのか「ファンド・オブ・ファンズ」方式で運用されるのかが説明されています。
この例ではファミリーファンドで運用されていますから。一般投資家はベビーファンドのこの商品に投資をすると投資資金はマザーファンドに渡されそこから日経225の構成銘柄に投資するという方法が説明されています。
「主な投資制限」…投資制限とは資産の安全性を確保するためにこのファンドが制限を設けている項目です。
この例では「株式」に対しては組み入れ比率に制限を設けていません。また(マザーファンド以外の)「投資信託証券」への組み入れ比率は純資産総額の5%以下に抑える事。日経225と連動させるため外貨建て資産への投資は行わないことが書かれています。
「収益分配方針」…これは投資信託が挙げた利益の分配方法について書かれています。
基本的にこの投資信託は分配金が出ない投資信託なので、細かくは書かれていません。
これが「毎月分配」のアクティブファンドだとしっかり明記されています☟

投資リスク
ここからはその商品が持つリスクについて書かれています。
ここをしっかり理解することは投資商品を持つうえでとても重要なので覚えておきましょう。

「基準価格の変動要因」…株式への投資商品は価格変動商品なのでインデックスとは言え価格が下がれば「元本割れ」することもあると説明しています。しっかりと「預貯金とは違います」と書いてありますね。
この例で言えば「日経225」の指数と連動しているので日経225の価格が下がればこの商品の価格も下がりますと説明されています。
「主な変動要因」…この投資商品がどのような要因で価格が上がったり下がったりするかの理由が挙げられています。
この例で言えば「株式投資リスク」と「流動性リスク」です。
「株式投資リスク」とは株式市場は経済や社会情勢の影響で価格が動く市場なので業績悪化が続く企業が多いと株価が下落する可能性があるというリスクです。
「流動性リスク」は対象銘柄の市場規模が小さいと思ったように取引ができない場合があるというリスクです。例えば「売りたい時に買ってくれる相手がいない」逆に「買いたい時に売ってくれる相手がいない」などで機会損失を受けるリスクがあるというものです。
「その他の留意点」…これはその他にも気に留めておいてほしいことが書かれています。
この例で言えば分配金とクーリング・オフです。
分配金が出た場合は、基準価格から分配金の分は価格が下がってしまう事、このファンドの取引にクーリング・オフ制度は使えませんという事が書かれています。
「リスクの管理体制」…運用リスクに対してこのファンドが行っている管理体制について書かれています。そこまで気にする必要はありません。
投資リスク(参考情報) ※重要
この項ではそのファンドのリスクとリターンがほかの投資商品とどのくらい違うのかを見ることができます。
グラフで見ることができるので理解できればとても分かりやすいです。


「ファンドの年間騰落率および税引前分配金再投資基準価格の推移」…下の棒グラフが年間騰落率です。右側の%で一年間のうち%上がったか、また下がったかを見ることができます。
折れ線グラフは分配金を再投資した場合の価格の推移です。
この例でみると、毎年株価が上がった年も下がった年も両方ありますが、長期で分配金再投資を行っていけば順調に基準価格を上げていることがわかりますね。

「ファンドと代表的な資産クラスとの騰落率の比較」…これはその商品のボラティリティを見るのにとても役立つグラフです。ボラティリティとはリスクとリターンの大きさです。リスクが高ければその分リターンも大きくなります。上記の棒グラフが大きければ大きいほどボラティリティが高いということになります。
この例でみると日本国債がとてもボラティリティが低いのに対しこのファンドは先進国株以上にボラティリティがが高いことがわかります。それだけ値動きが激しいという事ですね。
ここで注目すべきはお隣の「日本株」よりもボラティリティが高いことです。
この「日本株」というのはTOPIX(東証株価指数)が対象ですが、このファンドは「日経225銘柄」に絞っているためボラティリティが少しだけ高くなっているというわけです。
比較した指数の詳細も記載されています☟

運用実績 ※重要
次の項目はこのファンドの過去の運用実績です。
実際にどのくらいの運用益が出ていたのか、分配金の推移や組み入れ銘柄までが載っています。


「基準価額・純資産の推移」…ファンドの基準価額と純資産総額が直近5年間でどのような推移をたどったかがわかります。ちなみにこのファンドは分配金再投資型なので、基準価額に再投資分が含まれています。
これが「毎月分配型」だと分配金を受け取る場合と再投資された場合の2種類の折れ線で明記されます☟

・青/分配金再投資 ・グレー/分配金を受け取った場合の基準価額
このグラフでわかるように毎月分配型は基準価額を削って分配金に充てていることがあります。
資産形成を目指している方はここに注意しましょう。


「分配の推移」…分配金の推移です。このファンドは毎月分配型ではないので0円と表示されています。
毎月分配型はここにその年の決算時の分配金が表示されます。(右表)

「組入上位業種(マザーファンド)」…マザーファンドに組み入れられている銘柄の業種の割合を見ることができます。
「組入上位銘柄(マザーファンド)」…マザーファンドに組み入れられている上位の銘柄が見ることができます。どのくらいの割合で組み入れられているかは右の比率を見ればわかります。
インデックスファンドの場合この両方の割合はその指数とほぼ同じとして考えておけば問題ありません。

「年間収益率の推移」…このファンドが年間どのくらい儲かったかがわかります。例えばこの表だと2017年の時は21.0%の運用益が出ましたが、翌年の運用益は-10.4%だったというのがわかります。
このベンチマークというのはこのファンドが2016年からの運用開始のためそれ以前の収益率の計算はそのインデックスを基に計算して出されているという事です。このファンドで言えば「日経225」ですね。
これを見ると平均的にプラスの運用益が出ていることがわかります。
手続き・手数料等
この項ではこのファンドの購入時や換金時、決算・分配に関する仕様が書かれています。
ここに書かれているほとんどがweb上で自動で行われるのであまり詳しく見る必要はありません。
分配金が発生するひとは「決算日」や「収益分配」などを確認しておく必要があります。

「購入時」…購入時に必要な約束事です。「購入価額」が申込受付日の基準価額になる事は押さえておきましょう。
「換金時」…売却時に必要な約束事です。「換金代金」は支払いのタイミングがわかるので押さえておきましょう。
「申し込みについて」…購入・換金両方にかかわる申込についての約束事です。「申込締切時間」は受付できるかどうかに関わるので押さえておきましょう。

「決算・分配」…「決算日」はそのファンドの決算の日です。配当金が出るファンドはこの日を配当受け渡し日の目安としています。
また「収益分配」は配当金の分配方法の詳細が書かれています。選ぶコースによって分配金を受け取るのか、自動的に再投資されるのかで分配金の取り扱いが変わります。
「その他」…手続きに関するその他の事項です。ファンドの存続に重要と思われる3つを取り上げます。
「信託期間」はいつまでこのファンドが存在するかという期間です。
「繰上げ償還」とはどのような事態が起こった時にこのファンドが償還されて強制的に払い戻されるかの条件が書いてあります。大体が口数の激減による繰上げ償還が想定されています。
「信託金の限度額」とはその投資信託の総額の上限です。ファンドが大きくなった場合、限度額が変更されることもあります。
ファンドの費用・税金 ※重要
次はとても重要な運用コストについての項です。
この項を何気なく読み飛ばしてしまうと、知らず知らずのうちに高い手数料を払っているということになりかねないので、しっかり理解して読んでいきましょう。


「ファンドの費用」…ここでは「購入時手数料」「換金時手数料」「換金時の信託財産留保額」がわかります。
購入時手数料や換金時手数料は読んで字のごとく売買で発生する手数料です。
そのほかに「信託財産留保額」というのがあります。これは投資信託を換金する時に手数料がかかったり換金するタイミングで損失が出たりと投資信託を換金する場合にいろいろと「費用」が発生します。
それを投資信託を保有し続ける人で配分するのは不公平なので換金する人にその費用を支払ってもらおうという制度です。
この例でみると、どれも無料ですね。
ちなみにこちらはアクティブファンドの費用一例です。

ここをしっかりと理解してみているだけで、このコスト違いを見極めることができます。

「運用管理費用(信託報酬)」…こちらの費用が毎年かかる運用コストです。売買手数料と違い通年で支払わなければならないので、この数値が低ければ低いほど資産形成の味方となります。
年率0.154%はとても安いですね。100万円を運用していても年に1500円程度です。投資初心者の方はこの数値が1%未満を目安としておくとわかりやすいです。
こちらもアクティブファンドとの比較を出しておきます。

実質コスト1.81%、100万円を1年間運用すると1万8千円程度です。
コストが全てではありませんが、資産形成を始めようとする人にとっては割と大きい数字です。
これを高いと取るか、安いと取るかは自分の投資戦略と合わせて考えましょう。
税金
最後の項目は税金になります。
ここも換金時や配当金には重要になってきますので確認しておきましょう。

「税金」…これは金融所得課税で、課税口座で運用している場合にかかってきます。税率は一律20.315%となります。
「分配時」…分配金を受け取るコースの場合はここに税金がかかってきます。
再投資のコースであれば自動的に再投資されるので税金はかかりません。
「換金時および償還時」…これは投資信託を換金する時や償還されたときにかかります。この商品は換金時手数料無料ではありますが、税金はかかってしまいます。
NISA口座やつみたて口座で運用している方であればどちらも非課税になります。
やはりNISAは活用したいですね。
まとめ
いかがだったでしょうか、長くなってしまいましたが丁寧に一つずつ解説していったので理解していただけたら幸いです。
実は運用コストがかかっていたり、わりとリスクの高い商品だったり、分配金で元本が削られていたりという事がこの「交付目論見書」を見れば一目瞭然です。
ただ勧められるままに購入するのではなく、ぜひしっかり目論見書を読んで自分の判断で購入してみてください!

みなさんの充実したマネーライフを応援しています☆
Written by NAOMARU
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