みなさんこんにちは小市民投資家のNAOMARUです。

いま巷ではインデックス投資が人気ですね!
特にS&P500指数に連動するインデックスや先進国や全世界の株式の指数に連動するインデックスは格安の手数料で長期的に見るとアクティブファンドよりもパフォーマンスが高くなるので積立投資の最適解とされています。
そんなインデックス投資を老後資金のための資産形成としている方も多いんじゃないでしょうか?
「ほったらかし投資」と言われるぐらい初心者に優しい積み立て投資ですが、皆さんはその積み立った後の事を考えた事はありますか?
特にリタイヤした後、資産を切り崩していく際の出口戦略はどうお考えでしょうか?
この「出口戦略」こそ資産形成におけるもっとも難しいターンなのです。
そんな出口戦略で最も有効な取り崩し方法とされているのが「4%ルール」です。
4%ルール
積み立てた総資産額から毎年4%を生活費として取り崩すという方法。
例】総資産5000万円だった場合毎年200万円。1億円だった場合毎年400万円。
これによると95%の確率で30年後も資産が残っている(もしくは増えている!)という研究結果が出ています。
凄い確率ですね。
しかし忘れてはいけないのがこの残り5%の人たちです

この5%の人たちは資産を枯渇させてしまっているのです。
なぜこの5%の人たちは資産を枯渇してしまったのでしょうか?
そしてこの5%にならない方法はあるのでしょうか?
今回はこの「4%ルール」の出口戦略について解説していきたいと思います。
- 4%ルールの内容
- 4%ルールの注意点
- 問題を解決する二つの方法
※今回の方法が必ずしも成功を保証するものではなく、過去のデータによる考察です。投資は必ず自己責任で行ってください。
インデックス投資の出口戦略「4%ルール」とその注意点
4%ルールとは
4%ルールとは経済理論を研究したトリニティ大学が発表した研究結果です。
株式市場と債券市場のデータをもとに資産ポートフォリオから何%を取り崩していくとどのくらいの期間まで資産が残っているかというのを調べました。
上記の表を見ると5%以上の取り崩し額だと30年後の成功率が急激に減少しているのがわかります。
また債権の比率を増せばディフェンシブなポートフォリオを組むことができますが、債券を増やしすぎても成功率が落ちています。
株式の成長率がポートフォリオを組む際に必要だということがわかります。
また3%の取り崩しだとさらに成功率は上がりますが、生活をする上での金額が足りなくなるか、積み立てる目標金額が大きくなりすぎるという欠点が出てきます。
以上の事からわかる通り取り崩し率4%でかつ株式と債券を混ぜ合わせたポートフォリオが30年後の成功率を上げる秘訣となっています。
※株式100%も成功率95%ではありますがボラティリティの高さから保有するのが難しいため除外しています。
素晴らしい研究結果ですが、実際に自分はどのくらいの資産額が必要なのでしょうか?
計算は簡単です。
自身の年間生活費に25をかけて計算すれば目標金額がわかります。
年間生活費×25=リタイヤ時の資産総額
例】年間生活費400万円必要ならば目標と資産額は1億円という事になります。
この1億円を高いとするのか、手が届くとするのかは人それぞれです。
いったい自分の生活費が最低限どのくらい必要なのか、老後は年金もあるのでそれを踏まえて計算しましょう。
もし今のままでは資金が足りないと思った方は、資産形成の基本である下記の公式に則って「収入を上げる」のか「支出を下げる」のか「運用利回りを上げる」のかして資産形成していきましょう。
(収入-支出)+(資産×運用利回り)=資産形成
4%ルールの注意点~なぜ資産を枯渇させるのか?

さて、ここでせっかく1億円を貯めたとしても「4%ルール」の成功者95%に入れれば問題ないのですが、残り5%に入ってしまっては元も子もありません。
ではこの5%の人たちはどうして資産が枯渇してしまったのでしょうか。
それは暴落時の資産の取り崩しにあります。
例えば
1億円貯めていざリタイヤ生活を送ろうとした矢先に暴落を受けてしまったとします。
資産額が大きく減ってしまっていても生活費を資産から取り崩していかなければならないリタイヤ生活ではこれを回避することができず価格の低い株を大量に取り崩さなければいけないのです。
そうなると資産が枯渇する確率がグッと上がります。
特に株式投資には「株価が下がっている時に株を売るな」という鉄則があるぐらい下落時の売却は危険です。
なぜなら株価暴落時に株を売ってしまうと損失が確定してしまいますし、回復局面になっても株の数量が減っているためその恩恵にを受けられなくなってしまうからです。
しかしリタイヤ生活となると他の収入が無いわけで否が応でも資産を取り崩していかなければ生活できません。
現にリタイヤ直後に上昇相場のケースとリタイヤ直後に暴落するケースでは圧倒的に直後に暴落する方が資産が枯渇してしまう割合が高いのです。
ではどうすればその5%にならずに済むのか。
その解決方法を考えます。
残り5%にならないために~資産を枯渇させない方法

先ほども言いましたが資産枯渇の要因は暴落時の資産の取り崩しです。
それを回避するにはどうすればいいか2つの方法が考えられます。
- 債権の取り崩し率を上げる
- 現金で乗り切る
リタイヤ後は収入がありません、そのため手持ち資産でどうにか暴落時は乗り切らなければなりません。
そのため上記の二つが選択肢にあげられます。
債権の取り崩し率を上げる
債権は資産の中でも株式とは逆相関の動きをし、ボラティリティの低いディフェンシブな資産です。
これを混ぜることによって暴落のショックをやわらげ、ポートフォリオの騰落率が抑えられます。
また、債券は株式よりも暴落からの戻りが早いのも特徴です。
値上がりはあまりしませんが、その代わり値下がりも少ない安定資産といえるでしょう。
また毎月配当というインカムゲインにも向いておりキャッシュを厚くする効果もあります。

その特徴を生かし暴落時、値が下がっている株式の取り崩し比率を下げ、値が早くに戻った債権の取り崩し率を上げて暴落を乗り切る方法です。
そうすることで大量に株式の数量を取り崩すことなく温存できるので、株価回復時にも値の戻りも早くなります。
例えば…
暴落時は債券3%株式1%。もしくは債券4%株式0%と株式の下落度合いによって調節します。
株式が暴落から復活し通常の状態に戻った際は、債券の比率が低く逆に株式の比率が高くなっているはずなので、アセットバランスを戻すように株式の比率を債権よりも上げて取り崩し、通常のアセットバランスに戻しましょう。
現金で乗り切る
債券とは別に最も安定した資産があります。
それは「現金」です。
現金さえあればそれを当面の生活費として暴落時のクッションにすることが出来きます。
リタイヤした人の現金の入手方法は2つ。それは「貯金」と「配当金」です。
仕事からの収入が無い人にとってはこの二つしかありません。
ではまず「貯金」からですが、資産以外に生活防衛資金はいくら必要なのでしょうか?
過去のアメリカ市場での株価暴落から回復基調になるまでの期間は中央値で2年。
世界恐慌(最悪のケース)で5年、リーマンショックで2年かかりました。
そこで最低限5年は「現金クッション」を用意しておくとして下記の計算式を用います。
現金クッション={年間支出-(資産額×年間利回り)}×年数
例えば
年間支出400万円で1億円のポートフォリオの配当利回りが2.5%の場合
最低5年間を現金クッションで耐えるには
750万円={400万円-(1億円×2.5%)}×5
750万円の預金が必要
引用「FIRE 最強の早期リタイア術――最速でお金から自由になれる究極メソッド/著:クリスティ―・シェン&ブライス・リャン」
という感じになります。
1億円資産で増やしてさらに750万円もの預金って正直結構な額ですよね。
そこで次に頼りになるのが「配当金」というもう一つの収入源です。
この例では「2.5%」という配当利回りですが、これを「3.5%」に上げてみるとどうでしょうか。
250万円={400万円-(1億円×3.5%)}×5
なんと利回りを1%上げるだけで現金クッションは250万円用意すればよいという事になります。
250万円なら生活防衛資金として投資を開始する前に用意できそうですね。
この預金250万円と3.5%の配当金で暴落後の5年間を乗り切ることが残り5%にならないための方法なのです。
ではこの利回りを上げるための方法をご紹介します。
利回りを上げる4つの商品

利回りを上げる商品の代表的なものをここでご紹介します。
優先株
優先株とは普通の株式と違って「議決権」がありません。
会社を所有するという目的を放棄しているため債権と近い関係にあります。
しかし会社が破綻した際の返済順位は債権よりも低いです。
返済時の優先順位は次の通りです。
債権⇒優先株⇒通常株
債権が最優先とされます。
この二つの特徴から、通常の株よりも高い配当利回りに設定されているのが優先株式です。
現在、楽天証券で買える代表的な優先株ETFは
「iシェアーズ 優先株式 & インカム証券 ETF (PFF)」です。
現在の配当利回りは4.63% ※2021/05/023

PFF(ローソク足)/SPY(紫)
PFFとS&P500の指数に連動するETF:SPYとの比較になります。
PFFの特徴はほとんど値上がりを期待できません。基本的には横ばいです。
なのでインカムゲインを基本とした投資戦略となります。
現金クッションと合わせて高い配当金で株式を取り崩さずに生活するはなら選択の一つに入ります。
ただ、暴落時の箇所を見てわかるように金融セクターなどが多いPFFは
金融危機などの暴落に弱く債権のような株式のヘッジになる事はありません。
あくまでインカムゲイン用の投資商品と言っていいでしょう。
REIT
「REIT」とは通常の不動産と違い、その不動産を所有・運営している投資法人に投資をする方法です。
株式市場で上場投資信託(ETF)として購入できます。
ビルなどの不動産は多額の資金が無ければ購入できませんが、ETFとして購入する事でそのビルのオーナーの一人になれるという事です。
こちらは株式のように利益から配当金を配るのではなく、賃料からの家賃収入なので
利益が無くても賃料は払いますから比較的安定的に配当金を得られる手段の一つです。
現在楽天証券で購入できる海外REITでアメリカのREIT指数に連動しているETFは
「SPDR ダウ・ジョーンズ REIT ETF(RWR)」
ダウ・ジョーンズU.SセレクトREIT指数の価格と利回りに連動する投資成果を目指すETFです。
構成銘柄は工業や商業、住宅用が多いです。
経費率0.25% 配当利回り3.96% ※2021/05/23
楽天証券は海外REITが少ないので、SBI証券の方が現在は多いです。
ただREITの場合、海外よりも馴染みのあるJ-REITの方に投資した方が知っている建物もあるのでいいかもしれません。
「ダイワ上場投信ー東証REIT指数(1488)」
東証に上場している不動産投信全銘柄を対象とした指数連動型のETFです。
経費率0.17% 配当利回り3.30% ※2021/05/23

日経225(紫)とJ-REIT指数に連動する「ダイワ上場投信ー東証REIT指数」(ローソク足)の比較です。
コロナ以降不動産需要が減って低迷中ですが、徐々に値を戻していっています。割安で購入できる時期も終わりそうです。
株式とは別の独自の動きをするのでこれも株式のヘッジにはなりませんが、株式よりアウトパフォームする時期もあります。
またこれに「ONE ETF東証REIT(2556)」「NFJ-REIT(1343)」を組み合わせれば配当月がそれぞれ違うので毎月配当が可能になります。
- ダイワ上場投信ー東証REIT指数=3月6月9月12月…計4回
- ONE ETF東証REIT=1月4月7月10月…計4回
- NFJ-REIT=2月5月8月11月…計4回
債権
債権は株式と逆相関の動きをする投資商品で、よく株式のヘッジとして買われる方が多いです。
ポートフォリオの騰落率をマイルドにしてくれる作用もあります。
債権は格付けがされており
投資適格とされている「AAA」~「BBB」
それ以外の「BB」以下をジャンク債と呼ばれています。
投資適格な債権は安定性が高く値動きもマイルドなので安心です。
ジャンク債は値動きが株式並みに激しいのでその分配当利回りが高く設定されています。
有名な債権ETFに
「iシェアーズ コア米国総合債券ETF (AGG)」AAA~ 配当利回り2.00%
「iシェアーズ iBoxx 米ドル建て投資適格社債 ETF(LQD)」AAA~BB 配当利回り2.59%
「iシェアーズ iBoxx 米ドル建てハイイールド社債 ETF (HYG)」BB~ 配当利回り4.56%
※全て2021/05/23時点
上から「ローリスク・ローリターン」「ミドルリスク・ミドルリターン」「ハイリスク・ハイリターン」となります。
HYGはかなり値動きが激しいため、LQDかAGGの「投資適格」な債権に投資しましょう。

AGG(ローソク足)とSPY(紫)の比較です。
先のコロナショックでもすぐに回復し安定的な動きをしています。
債権は配当金というよりは株式を取り崩さずに早めに戻った債権の方を取り崩すという感じに、
高騰時と暴落時で株式と債権の取り崩しの割合を変えるという手法を取っている方も多いです。
高配当株
高配当株は通常よりも高い配当利回りの株の事を言います。
最近では高配当株ETFが人気ですね。
代表的な3つは以下になります。
「バンガード・米国高配当株式ETF (VYM)」 経費率0.06% 配当利回り2.82%
「iシェアーズ コア米国高配当株 ETF (HDV)」 経費率0.08% 配当利回り3.59%
「SPDR ポートフォリオS&P 500 高配当株式ETF(SPYD)」経費率配当利回り5.49%
※全て2021/05/23
「VYM」は米国籍の高配当銘柄を400社程度で構成されたETFです。3つの中で一番運用実績があり構成銘柄も多いため一番安定しています。
そのため配当利回りが他の2つに比べて低いのも特徴です。
「HDV」は米国株式の特にインフラに関わる部分の消費財、生活必需品、エネルギー、石油・ガス、電気通信セクターの企業に投資するETFです。構成銘柄数は75です。
銘柄数が少ないためVYMよりも配当利回りが高くなっています。
「SPYD」は米国のS&P500の構成銘柄の中から高配当である銘柄を50社を均等に組み入れたETFです。
50銘柄とHDVより更に選定しているため配当利回りは3ETFの中でトップです。
その代わり、下落に弱いという側面もあります。

3ETFとS&P500との比較です。
S&P500(ローソク足)VYM(赤)HDV(緑)SPYD(青)
構成銘柄の多さでVYMが下落時もSPYDやHDVよりも抑えられています。安定感が見えますね。
逆に50銘柄に絞られたSPYDはかなりの下落率です。かなりのハイリスクと言えるでしょう。
ただ、SPYDは優秀な指数S&P500の構成銘柄から選定されているだけあって回復率も早く直近だとHDVを抜いている場面もあります。
まとめ
ご覧の通りインデックス投資に比べると債権以外の手段はやはりハイリスクである事に変わりはありません。
もし利回りを上げるリスクが自分のリスク許容度を越えていると判断されるのであれば素直に貯金の金額を増やすという手段を取った方がいいです。
また利回りを上げ過ぎてインデックス投資の構成を著しく変えてしまうのも問題です。
なぜなら最初の「4%ルール」はインデックス投資を想定して出されている研究だからです。
なので、計算した5年間が無事過ぎれば、次第に構成銘柄をインデックスに戻していくことで
「4%ルール」の前提を壊さないようにしましょう。
現金を増やす方法として他に「副業」があります。
「副業」で稼ぐ力をつければたとえ株が暴落した時でも困る事はありません。
このサイトでもオススメの副業をご紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。
また、65歳以上になれば「年金」という新しい収入の柱も増えるので、さらに安定的になる事でしょう。
まずは若いうちから貯蓄をしてコツコツインデックス投資をしながら自分に合った出口戦略を考えていきましょう。
このサイトがその一助となれば幸いです。

みなさんの充実したマネーライフを応援しています☆
Written by NAOMARU
≪参考書籍≫
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